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マリインスキーの『ロミオとジュリエット』



 バレエの『ロミオとジュリエット』を初めて観たのは、実は今年の2月、ボリショイ・バレエのライブ・ビューイング・シネマです。セルゲイ・プロコフィエフの音楽と圧倒的な迫力とスピード感のあるボリショイ・バレエの「ロミジュリ」にすっかり魅了された衝撃が、忘れられません。
 幸運にも今年は、シュツットガルト・バレエ団とマリインスキー・バレエの『ロミオとジュリエット』を観ることができました。


ロミオとジュリエット

 ジュリエット役のクリスティーナ・シャプランは、もっともジュリエットにふさわしい若さと美しさを持ち合わせたダンサーです。長身で華やかな美貌、モデルや女優もできる容姿の持ち主です。表情も豊かで、先日観た『愛の伝説』のシリン役に比べて、はるかにのびやかで清楚な印象を受けます。この役に合っていると強く感じます。

 ロミオ役のティムール・アスケロフは、とてもバランスの良い体型のダンサーです。ただ顔が好みのタイプ ^^; でないので、なかなか感情移入ができませんでした。それとリフトが高いものが多かったことと、シャプランが重い(笑?)せいか、腕がプルプルしているのが気になっちゃいました。

 さて全体の感想ですが、正直「う〜ん?」とうなってしまいます。メリハリの無いロミオとジュリエットのデュエット、バルコニーの無いバルコニーの二人の踊り。華やかさが無い衣装、物足りない舞台全体の印象。無駄に思える場面や踊り。時間がやたら長く感じられるのも、どこか違うと感じてしまいます。

 舞台空間全部を使った迫力と駆け抜ける疾走感のグリゴローヴィチ版のボリショイ・バレエは、場面場面の曲と動きが良く合っていて強烈な記憶を残します。特に「キュピレット家の踊り」の格式と威厳のある踊りは、振付け、衣装の豪華さと言い、どれをとっても申し分の無い舞台です。また、ロミオとジュリエットのバルコニーのシーンは、幻想的で美しく、浮遊感と落下の中に危うい恋の情熱のほとばしりが表現された「初恋の甘酸っぱさ」を思い起こさせます。

 クランコ版のシュツットガルト・バレエの『ロミオとジュリエット』は、物語を重視し、登場人物の内面を掘り下げたような演出は、動き一つ一つに言葉と同じ意味があるように丁寧に描き出されています。感情の流れが、極自然に感じられ「ドラマティック・バレエ」の真髄に触れたような気がします。

 ラヴロフスキー版のマリインスキー・バレエは、ジュリエットが毒をあおって仮死状態になった後の場面が長く、ジュリエットの墓場の前の場面が重厚に描かれているなど、版によって演出が異なるのは、面白い発見でした。

 版の違い、人によって好みの差がかなりあるのも理解できます。私たちが3種類の『ロミオとジュリエット』で順位をつけるとすれば、

○第1位:ボリショイ・バレエ(グリゴローヴィチ版)
○第2位:シュツットガルト・バレエ(クランコ版)
○第3位:マリインスキー・バレエ(ラヴロフスキー版)

ということになります。




ナタリア・マカロワ 
 伝説のバレリーナ:ナタリア・マカロワ:ソヴィエト時代のレニングラードに生まれ、13歳でワガノワバレエアカデミーに入学。卒業後、キーロフ(現マリインスキー)バレエに入団し、すぐソリストに昇格。キーロフ・バレエ団のロンドン公演中の1970年イギリスに亡命。その後、アメリカン・バレエ・シアター、英国ロイヤル・バレエ団を中心に世界各国で出演。1985年頃からバレエ舞台から遠ざかり、舞台女優や振付家として活躍。
 この日、会場にナタリア・マカロワさんがいらしていて、その功績を会場全体で讃えていました。75歳とは思えない美しさです。



テーマ : バレエ
ジャンル : 学問・文化・芸術

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 自然観察と歌舞伎が大好きな夫婦でつくっているブログです。生田緑地と伊豆海洋公園をフィールドにネイチャーフォトを楽しんでます。

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