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シュツットガルト・バレエ団の『ロミオとジュリエット』




 『ロミオとジュリエット』は、今年の初めにボリショイシネマで観たのが初めてです。曲の素晴らしさと、バレエ構成の見事さに衝撃を覚え、ぜひ生で観てみたいと思っていた作品なのでとても楽しみにしていました。シュツットガルト・バレエ団のことがよくわからないまま、上野の東京文化会館にやって来ました。


シュツットガルド


 基準になるのがボリショイの「ロミジュリ」だけなのですが、第一幕から全く印象が異なります。振り付けの違いもさることながら、表現方法が緻密で一人一人の人物の描写が細かく、性格や雰囲気まで伝わってくるようです。それぞれの動作は、まるで台詞を語っているかのようにドラマティックです。
 20世紀の振付家であるジョン・クランコは、プロコフィエフとラヴロフスキーによって作られたドラマの構成基盤を崩すことなく舞台のシーンと音楽を一致させるドラマティック・バレエを目指しています。この意志を継ぐのが、ドイツのシュツットガルト・バレエ団です。

 ジュリエット役のアリシア・アマトリアンは、非常にしなやかで繊細な踊り手です。ロミオ(フリーデマン・フォーゲル)を信頼しきって完全に身体を預ける様子は圧巻です。力の抜き方、重量感の無い空気のようなリフト、ロミオと溶け合うように踊る息の合った二人のダンスは、今まで見たことの無い境地を感じます。
 それもそのはず、アリシア・アマトリアンとフリーデマン・フォーゲルは、同時期にプリンシパルとなり以来13年間看板ペアとして踊ってきているので、お互いを知り尽くしているのでしょう。これ程完成度の高いペアはいないと思いました。二人だからこそ出来る神業のような動きに、何度もハッとさせられました。

 シュツットガルト・バレエ団の凄いところは、主役の「ロミオとジュリエット」だけが突出して引き立つのではなく、どの役のダンサーにも光があてられていることです。それぞれの役を丁寧に描いたドラマティック・バレエの醍醐味と言えるのでしょう。一人一人のレベルも想像以上に高く、誰もが主役・準主役になれるほど上手いのも特筆すべきところです。

 ボリショイ・バレエ団の華やかで主役にスポットライトがあたるような演出とは異なり、シュツットガルト・バレエ団は物語を重視し、全ての役(ダンサー)が大切に描き出され調和と統一感を持った舞台が作り出されています。

 こういうバレエもあるのだとういう、新しいバレエに出逢えたような感動がありました。バレエを観ていると同時に芝居を観ているような、バレエの可能性の広がりを感じることができた一夜でした。








テーマ : バレエ
ジャンル : 学問・文化・芸術

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 自然観察と歌舞伎が大好きな夫婦でつくっているブログです。生田緑地と伊豆海洋公園をフィールドにネイチャーフォトを楽しんでます。

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