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やっぱり菊五郎の世話物は、最高!




 歌舞伎座の「芸術祭十月大歌舞伎」昼の部も見どころが、たくさんあります。
 今月の歌舞伎座は、昼夜を通して今年一番の充実した観劇になりました。

一條大蔵板絵

 『一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)』は、平家全盛期、平清盛の愛妾だった常盤御前を妻に迎えた一條大蔵長成を取り巻く物語です。源氏の忠臣吉岡鬼次郎夫婦は、常盤御前の本心を探ろうと大蔵卿の館に潜り込みます。阿呆として知られる一條大蔵卿は、実は源氏の血筋で源平の争いに巻き込まれないため作り阿呆をしています。その作り阿呆と本性の演じ分けが、この演目の一番の見どころです。
 今回の片岡仁左衛門の大蔵卿は、品があって高貴な公家の雰囲気が素晴らしいです。前半の天真爛漫な阿呆ぶりを装っている時の柔らかな笑顔が美しくて、チャーミング。ふざける仕草も可愛らしく、とってもキュートです。こういう柔らかな雰囲気は仁左衛門ならではですね。他の役者ではなかなかこうはいきません。
 そして後半の威厳と品格のある大蔵卿の姿が、これまた凛々しく、姿形も華やかな格好良さです。最後にまた作り阿呆に戻る様子がまた魅力的で素敵です。仁左衛門にしか出せない見目麗しい大蔵卿で、惚れ惚れします。


文七元結板絵 

 『人情噺文七元結』は、落語家の三遊亭円朝口演をもとにした江戸っ子の義理人情に溢れる名作です。

 尾上菊五郎の演じる左官長兵衛は、大の博打好きで借金が嵩み、年を越せそうにないありさま。家の苦境を救おうと娘のお久は、吉原に身を売って借金を返そうします。孝行娘がこしらえてくれた大事な五十両。すっかり心を入れ替えた長兵衛は、大金を懐に家路を急ぎますが、途中の大川端で出会った文七の命を救うため、この大金をあげてしまいます。
 自分も大変な時に、困った人を助けるため娘が身を売って作ってくれたお金をあげてしまうお人好しの長兵衛。江戸っ子の気っ風の良さ、義理人情の細やかさをここまで演じることができる役者は、菊五郎を置いて他にはいません。菊五郎は、本当に世話物の演技が見事です。「良い芝居を観たな〜」と、しみじみと感じるのも世話物を観た時が多いように思います。世話物は、江戸歌舞伎の真骨頂の演目です。菊五郎の後に続く役者が出てきてくれることを切に願っています。

 今月の歌舞伎座は、昼の部、夜の部ともに傑作揃い。こういう時は、お金に糸目をつけず何度も何度も観たいのものですが、そうもいかないところが悲しいところです(泣)。





芸術祭十月大歌舞伎 歌舞伎座 昼の部
  一 音羽嶽だんまり
        浄瑠璃「四君子」清元連中

  二 矢の根
        大薩摩連中

  三 一條大蔵譚
      檜垣茶屋の場
      大蔵館奥殿の場
  四 人情噺文七元結




テーマ : 歌舞伎
ジャンル : 学問・文化・芸術

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 自然観察と歌舞伎が大好きな夫婦でつくっているブログです。生田緑地と伊豆海洋公園をフィールドにネイチャーフォトを楽しんでます。

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