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夏は「四谷怪談」なんだけど!?





 歌舞伎の中で最も好きな演目の一つが、『東海道四谷怪談』です。夏の納涼歌舞伎では、よく上演されてましたが中村勘三郎が亡くなってから、「お岩さんをやる良い役者がいないなぁ〜」と残念に思っていました。そんな中、歌舞伎ではなく現代劇として新国立劇場で開催されることを知り、即予約して「この日がくること」をとっても楽しみにしていました。


四谷怪談ポスター

 今回の『東海道四谷怪談』の演出は、森新太郎氏です。お岩以外はすべて男性俳優が演じるという・・・ちょっと歌舞伎に近いものか?全く異なるものか?現代劇の舞台では、どんな仕掛けがあるのか? いろいろな期待が膨らんだまま、新国立劇場に到着です。

 民谷伊右衛門/内野聖陽、お岩さん/秋山菜津子をはじめ、平岳大、山本亨、有薗芳記、花王おさむ、小野武彦など蒼々たる役者が揃っています。

  
 お岩が毒薬を飲んで顔が崩れ、刀に刺さり死ぬまでの前半を観ていて、正直ガッカリしてしまいました。歌舞伎に捕われているせいかもしれませんが、役者の声の出し方からして全く違います。舞台演出がとってもシンプルで、衝立て一枚を巧く使っているのには感心しましたが、歌舞伎のような大仕掛けも無く、早業も無いためか?つまらなく思えてしまう場面も多くありました。
 
 後半の立ち回りは、歌舞伎と比べると速くて迫力がある部分もあるのですが、型の一つ一つが決まってないため雑なものに感じてしまいます。歌舞伎を真似て(?)、同じ道具を使っているのがかえって災いしていたのかもしれません。

 四谷怪談は、怪談としての部分がクローズアップされがちですが、そこに至るまでの人間の業の深さと内に潜む残虐非道さ、心の闇の部分を浮き彫りにさせ、最後にお岩の「うらみ」に集約させるという人間の情念を描いたものの中でも最高の傑作演目です。

 すべては歌舞伎が基準です。残念ながら歌舞伎を超えるものは演出にしても演技にしても一つもありませんでした。むしろ、歌舞伎を全く離れてもっと型破りな演出を考えてほしかった気がします。

 内野聖陽さんは、色悪である伊右衛門役を全くこなせていませんでした。お岩を可愛がる色の部分にしても、心変わりした後の悪の部分にしても中途半端です。この伊右衛門がしっかり出来ていないと、この芝居の「うらみ」の部分が生きず、全体として迫力不足の締まりのない舞台になってしまいます。
 また、お岩の秋山菜津子さんはよく出来ていましたが、現代劇役者にありがちな発声のままなので、声が張ってしまって役柄が違うものに出来上がってしまっています。
 歌舞伎に近い演出をした限りは、言葉に頼らない演技で魅せる表現方法のほうが凄みが出たように思います。



 今回の舞台は、今年の「三大ガッカリ」にノミネートされそうです。そのトップは、N.Y.のアメリカンバレエシアターのバレエ『ラ・バヤデール』ですが、その次がこの『東海道四谷怪談』かな?という感じです。

 歌舞伎の凄さと素晴らしさをしみじみと感じた舞台です。うれしいことに、年末国立劇場で歌舞伎の『東海道四谷怪談』が上演されることになりました。本当は納涼歌舞伎でやってほしいのですが、そもそも『東海道四谷怪談』は「赤穂浪士四十七士」の外伝にもあたるもので年末でも良いのですが、夏の暑い時に観て「ゾクッ!」とするのが好きです。








テーマ : 演劇・劇団
ジャンル : 学問・文化・芸術

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 自然観察と歌舞伎が大好きな夫婦でつくっているブログです。生田緑地と伊豆海洋公園をフィールドにネイチャーフォトを楽しんでます。

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