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歌舞伎『新薄雪物語』後半!



 先週の水曜日に引き続き「六月大歌舞伎」(夜の部)、『新薄雪物語』の後半を観てきました。

 前回、花形歌舞伎役者がやった時は「昼の部」で通し狂言として上演しましたが、今回は昼・夜の部にまたがっての上演です。そのため、たぶん苦情も出たのではないか?と思われますが、入り口で「夜の部に至るこれまでのあらすじ」を配布していました。人間関係が入組み、同じ役者が複数の役をやったり、同じ役を別の役者がやったりと益々わかりづらくなるので、一日中通しで観る人以外は混乱も大きいと思います。苦肉の策で配布されたチラシが、どれだけ役にたったのか?はわかりませんが、お客様の要望に応えようとした努力は良かったです。


解説書


 『新薄雪物語』の一番の見所は、「合腹」(三人笑いの場)です。

 すでに腹を切った幸崎伊賀守(松本幸四郎)が、それを衣装の下に隠し首桶を抱えて花道から現れます。これを迎える園部兵衛(片岡仁左衛門)も蔭腹を切って首桶を抱いて出てきます。二人とも本心を隠し、腹を切っていることを悟られまいとします。園部の妻・梅の方(中村魁春)は、伊賀守の持って来た首桶は息子・左衛門の首が入っているものと思い込み、悲しみと憎しみで伊賀守の様子も夫の様子の変化にも気づかないでいます。両者が首桶を開けると首ではなく、願書が入っています。子供の命を助けようと親たちが命を投げ出そうとします。三人が三様の笑いを披露しますが、切った腹の痛みに耐える笑い、夫が命が尽きようとする悲しみを押し殺して笑おうとする妻のそれぞれの味わいを存分に表現する場面です。
 正直、花形役者の演技との差に驚嘆しました。花形の時は、仁左衛門の役を市川染五郎が、幸四郎の役を尾上松緑、魁春の役を尾上菊之助が演じていました。その時は「凄いなあ〜!見事だな〜!」と感心したのですが、今回の舞台を観てまるで違うものを見ているようでした。巧さだけでは補えない、年齢を重ねることによって出せる味があるものです。三人の役者が、これまでの人生をかけて演じている重みがひしひしと伝わってきます。「グググッと、心臓を鷲掴みにされたような」衝撃を受けました。

 花形役者が、この年齢に達した時にどんな「合腹」を魅せてくれるのか?また違う楽しみができました。


 
 「夜の部』で、もう一つ素晴らしい舞台がありました。『夕顔棚』です。老夫婦の情愛あふれる舞踊を尾上菊五郎と市川左團次が演じています。真夏の夕涼み、季節感たっぷりの情景、老夫婦の仲睦まじい風情が、懐かしい日本の風景を切り取っているようです。菊五郎のおばあさんが、これまた絶品で何とも言えない味わいがあります。艶っぽい左團次のおじいさんとの相性も抜群で、引き込まれてしまいました。


 重厚な時代物や人情世話物、荒事など歌舞伎には様々なジャンルのお芝居がありますが、肩の凝らない歌舞伎舞踊が一番いいなぁと最近は思うようになってきました。




六月大歌舞伎 歌舞伎座 夜の部
  一 通し狂言 新薄雪物語
      広間
      合腹
      正宗内
  二 夕顔棚












テーマ : 歌舞伎
ジャンル : 学問・文化・芸術

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南十字星

Author:南十字星
 自然観察と歌舞伎が大好きな夫婦でつくっているブログです。生田緑地と伊豆海洋公園をフィールドにネイチャーフォトを楽しんでます。

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