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時代物は、やっぱり吉右衛門!






 二月大歌舞伎「夜の部」は、ちょうど祝日にあたりました。バレンタインデー前の祝日の銀座三越デパ地下の混雑ぶりに辟易しながら、観劇用のお弁当をなんとか手に入れて歌舞伎座へとやってきました。今月は、ちょっとお客の入りがあまりよくない気がします。


建国記念日の歌舞伎座



陣門組打板絵 

 「夜の部」の見所は、中村吉右衛門の『一谷嫩軍記(いちのたにはたばぐんき):陣門、組打』です。
 源氏の武将・熊谷次郎直実役を中村吉右衛門、直実の子小次郎直家役を尾上菊之助が演じます。
 源平合戦の時代、平家の敗色が濃厚となる中奮闘する平敦盛と熊谷直実が海上で一騎打ちになります。敦盛を組み伏せ、討ち取ろうとしたところ、この若武者は敦盛になりすました小次郎でした。直実は恩義ある人の子である敦盛を救うため、我が子小次郎を敦盛として討ち取ります。親が子を討つという悲劇の極限を表す場面です。
 吉右衛門は、重厚で悲劇的な時代物が最も巧い役者です。観ている側も感情移入でき、舞台にどっぷりと浸ることができます。健気で美しい若武者・小次郎役に菊之助は、ピッタリです。実際のところ義父と息子という関係でもあり、実に素晴らしい舞台でした。
 『一谷嫩軍記』は長い長いお話で、よく上演されるのは、その内の「熊谷陣屋」です。この「熊谷陣屋」をより深く理解するためにも「陣門・組打」を観ておくことはとても大切です。めったに上演されないので、興味のある方はこの機会に観ておくことをお薦めします。


筆屋幸兵衛板絵 

 『筆屋幸兵衛』は、明治維新の没落士族を描いた物語です。筆を売って細々と生計を立てている幸兵衛は、妻に先立たれ、三人の子供を抱え貧苦に喘いでいます。一家心中を試みますが、あまりの辛さに発狂してしまいます。この幸兵衛役を松本幸四郎が演じています。
 幸四郎は、己を良くわかっている役者です。自分に合った役を心得ているので、ハズレがありません。今回も発狂後が、もの凄く面白くてあまりにハマリ過ぎていて、地でいっているのか?演じているのか?境目がわからなくなる程です。

 最近は、幸四郎の舞台を良く観ます。どれもはまり役で楽しめますが、やっぱり一番は『不知火検校』です。これは、ぜひもう一度やってほしい演目です。今度やったら、毎日でも観に行きたいと思っています。これは、歌舞伎として良いという訳でも、芸術的である訳でもないかもしれません。しかし、面白いのです。何度も観たくなる魅力的な舞台です。幸四郎の凄さ、素晴らしさを余すところなく出し尽くした最高傑作です。



地口行灯 

 二月の歌舞伎座のお楽しみは「地口行灯」がいたるところに飾られることです。浅草の伝法院通りにも飾られているのでご存知の方も多いと思いますが、言葉遊びで洒落を競い合った楽しい行灯です。
 歌舞伎座の行灯は芝居に因んだ洒落が多いので、楽しめるかどうかは歌舞伎の知識次第です。
 一番面白かった物を載せてみました。
 「仮名手本忠臣蔵」に登場する高師直(こうのもろのお=吉良上野介の名前を役名では高師直に変えています)をもじった洒落です。見ていて、ニヤッとしてしまいました ^^





二月大歌舞伎 歌舞伎座 昼の部
  一 一谷嫩軍記 陣門・組打
  二 神田祭
  三 水天宮利生深川 筆屋幸兵衛
      浄瑠璃「風狂川辺の芽柳」清元連中













テーマ : 歌舞伎
ジャンル : 学問・文化・芸術

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南十字星

Author:南十字星
 自然観察と歌舞伎が大好きな夫婦でつくっているブログです。生田緑地と伊豆海洋公園をフィールドにネイチャーフォトを楽しんでます。

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