市川猿之助、中車はただいま巡業中!
市川猿之助と中車は、今月巡業公演で各地を回っています。
今日は、鎌倉市の鎌倉芸術館での公演です。ちょっと、亀ちゃん(猿之助)の追っかけと中車(香川照之)の歌舞伎ぶりを観に行ってきました。
「鎌倉芸術館」の中庭

ガラス越しに見える竹林が美しい!
実は、黒鳳蝶が竹の葉にとまってました。絵に描きたくなるような風情のある佇まいです。

襲名披露興行は昨年6月から続いています。新橋演舞場の2ヶ月連続興行を皮切りに、大阪、名古屋、四国、博多の歌舞伎専用劇場でお披露目をして、今年は5月から9月末まで全国の公民館などを巡業して回ります。
昨日、赤穂からやって来て、今日は鎌倉芸術館での昼夜公演、明日は川口ですから大変です。
「太閤三番叟」:大阪城完成を祝い、太閤秀吉が自ら三番叟を舞うという『猿之助四十八撰』の中の作品です。
市川右近が、秀吉役で舞うことになっていましたが、体調不良のため市川笑三郎が代役を勤めました。右近には申し訳ありませんが、笑三郎の方が上背もあり良かったのではないかと思います。
「一本刀土俵入」:昭和6年に初演された新歌舞伎で、「股旅物」を得意とした長谷川伸の作品です。
酌婦のお蔦(猿之助)が、店先で無一文の駒形茂兵衛に声をかけ、横綱を夢見る茂兵衛に立派な横綱になるようにお金を恵んであげます。十年後、横綱になる夢は破れ博徒になった茂兵衛が、お蔦に再会し、お蔦の家族を救うという義理と人情を描いた名作です。
とても楽しみにしていた演目ですが、残念ながら猿之助と中車の柄が役に合っていませんでした。酌婦の猿之助は、まずまず良かったのですが、後半の子どもを持った母親役、女房役はきめ細やかさや情に欠け、世話物が苦手なのかもしれないと感じてしまいました。中車は語り口が歌舞伎になっておらず、単なる舞台俳優になってしまっています。後半の股旅姿も決まっているとは言えず、三度笠、道中合羽の扱いが下手でもたつきが目立ってしまいました。股旅物はスッキリとした立ち姿とキリットした啖呵が特に重要です。獅童が演じていたらきっとカッコ良かっただろうなぁ・・・。
そして何よりも、猿之助と中車の呼吸が合っていない気がします。何か、チグハグな感じが後に残りました。
中車は、香川照之としてドラマの中で、その存在感が圧倒的なものになっているような気がします。歌舞伎を始めてからの目力の凄さや表情の力強さが増したように思えます。しかし、それは映像の中だからこそ通じるものであり、歌舞伎の舞台で通用するものではありません。このままでは、歌舞伎役者としての中車は大成しないと危惧しています。もしかすると、普通の役者に戻った方が良いのかも知れないと・・・。いろいろ考えさせられた一日です。
松竹大歌舞伎 猿之助、中車襲名披露
一 太閤三番叟
二 口上
三 一本刀土俵入