待ってました!仁左衛門!
歌舞伎座で開催されている「六月大歌舞伎」の昼の部で、片岡仁左衛門が舞台復帰します。まずは、仁左衛門を観に行ってきました。

歌舞伎会会報「ほうおう」から抜粋
昼の部最後の演目『お祭り』に右肩の手術・リハビリ療養から復帰した仁左衛門が、七ヶ月ぶりに舞台にかえってきました。大きな拍手で迎えられ、「待ってました!」の大向こうの掛け声に「待っていたとはありがたい」と答え、復帰の喜びを仁左衛門と会場のお客さんが一緒に共有して一体感が生まれます。今回は、孫の千之助と一緒に舞台に立っているので、仁左衛門の嬉しさもひとしおだということが、その表情からもわかります。
仁左衛門が帰って来てくれて本当に良かったなぁ〜と、しみじみと感じた演目でした。
昼の部の秀逸は『実盛物語』。菊五郎は、何をやってもうまいな〜!そして左團次は、時代物の演目には欠かせない存在だなぁ〜とあらためて再認識。大柄で独特の声を持ち、押し出しのある悪役のできる左團次のような役者は、なかなかいません。貴重な存在です。次に続く役者がいないのが心配です。
元禄忠臣蔵の『大石最後の一日』:大石内蔵助役は松本幸四郎のはまり役で、観ていて安心感がありますが、別の役者が演じたらどんな内蔵助になるのかな?と考えながら観ていました。
忠臣蔵には、三大名作の一つで興行すれば必ず大当たりという『仮名手本忠臣蔵』がありますが、他に『元禄忠臣蔵』というものがあります。史実に忠実で長大な物語のため、なかなか通しで上演されることがありません。『仮名手本忠臣蔵』が討ち入りで幕切れになるのに対して、『元禄忠臣蔵』は、義士達の切腹までが描かれます。
『春霞歌舞伎草紙』は、まさに歌舞伎の群舞です。華やかで、色とりどりの着物に扇で舞台いっぱいに舞い一面の花畑のようです。若手の歌舞伎役者の踊りの腕を競い合う場でもあり、観ている側の目を養う場でもあります。この群舞の中、誰が踊りの名手かと言うと、尾上右近、中村歌昇・・・? それを見つける目を養わないとなりません。
三津五郎に続いて仁左衛門も復帰し、やっと一安心。後は福助の復帰を待つばかり。歌舞伎座新開場後に続いた大ピンチはなんとか峠を越せたようです。
歌舞伎座六月大歌舞伎 昼の部
一 春霞歌舞伎草紙
二 源平布引滝 実盛物語
三 元禄忠臣蔵 大石最後の一日
四 お祭り