fc2ブログ

團菊祭だけど、菊祭り?




 歌舞伎座で開催されている『團菊祭』も、いよいよ昨日は千秋楽です。
 最終日のこの日、「夜の部」を観に行ってきました。


 歌舞伎座正面には、大きな垂れ幕が下がっています。
千秋楽
 歌舞伎では、千秋楽ではなく、千穐楽。火事に通じる「火」を避けて縁起のいい「亀」を含む「穐」を使っています。



幡随長兵衛板絵 
 「夜の部」の第二演目は『幡随長兵衛』で、侠客と旗本の争いを描いた河竹黙阿弥の名作です。
 主人公の幡随長兵衛を市川海老蔵、旗本の水野十郎左衛門を尾上菊五郎が勤めています。幡随長兵衛は、何と言っても中村吉右衛門の当たり役です。そのためどうしても吉右衛門と比べてしまうのですが、海老蔵が演じると全く異なる長兵衛になります。
 感情豊かな懐深い親分型の吉右衛門の長兵衛に対し、凄みと冷酷で鋭利な怖さと蔭のある海老蔵の長兵衛は、全く違う解釈で演じているのかもしれません。
 相手が菊五郎となると芸の未熟さが目立ってしまいますが、これから海老蔵が修行を積むことによって、海老蔵にしか出来ない長兵衛になっていくことを期待したいです。
 今はまだ菊五郎は吉右衛門とやりたかったかもしれませんが、海老蔵の挑戦は、まだ始まったばかりです。「團十郎」になるのは、そんな簡単なものではないでしょう。大先輩の胸を借りて演じた今回の舞台は、海老蔵にとって貴重な勉強の場だったと思います。




春興鏡獅子 
「夜の部」最後、取りを勤めたのが、尾上菊之助の『春興鏡獅子』です。

 今まで観た「春興鏡獅子」(中村勘三郎、中村勘九郎、中村七之助、市川染五郎)中で、最高の出来でした。
 前半の小性弥生の舞いは、可憐で実に美しく菊之助の踊りの上手さが際立っています。難しい二枚扇も難なくこなし、後半の獅子の舞いは、激しく力強さの中にも優雅で、どの場面をとっても絵になる姿です。そして、最高の出来栄えだったのが、白頭の長い髪の回し方です。今まで観たのは、振り回すことに一生懸命で回す回数が多かったり、激しさであったりと、美しく回すということへのこだわりは無かったと思います。菊之助の回し方は、実に美しく髪の乱れも無く芸術的なものでした。 踊りとしての『美』を最大限に追求した見事なものです。長い髪を回す「連獅子」「石橋」など多くの演目を観てきましが、これほど美しく回せたのは、菊之助を置いてほかにいませんでした。
 後見の尾上右近も印象的でした。とても丁寧にその役を勤めていました。いつか、右近もこの演目を踊ることでしょう。

 今回、昼・夜の部を通じて良かったのは、菊五郎の「魚屋宗五郎」、菊之助の「勧進帳」の富樫と「春興鏡獅子」です。結局『團菊祭』と言っても、菊五郎、菊之助の独壇場の舞台であったと思います。春だけど『菊祭り』と言い切れるほど菊五郎、菊之助の実力を見せつけた舞台であったとも言えます。これを機に海老蔵には、もっともっと頑張ってほしいと・・・。 いつか團十郎として、また菊之助が菊五郎となった時に素晴らしい『團菊祭』を開催してほしい願っています。





團菊祭五月大歌舞伎 歌舞伎座 夜の部
 一 矢の根
 二 極付幡随長兵衛
 三 春興鏡獅子




テーマ : 観劇
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

南十字星

Author:南十字星
 自然観察と歌舞伎が大好きな夫婦でつくっているブログです。生田緑地と伊豆海洋公園をフィールドにネイチャーフォトを楽しんでます。

カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

01月 | 2024年02月 | 03月
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 - -


FC2カウンター
フリーエリア
ポチッと押してもらえると励みになります。  ↓
最新記事
最新コメント
カテゴリ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
2567位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
演劇
158位
アクセスランキングを見る>>
リンク
検索フォーム