最後の更新です。ありがとうございました。

最後は、やはりこの一枚で。
生田緑地「奥の池」の新緑風景です。
水質改善の「かいぼり」の成果が出て、とても綺麗な奥の池になりました。
2012年6月7日からスタートした「生田緑地雑記・ときどき海と歌舞伎」は、この記事をもって終了いたします。
見てくださった方々、本当にありがとうございました。
カウンターも徐々に上がり、22,700を超えました。
だんだんと見てくださる方が増えてきたところで終了するのはとても残念ですが、
念願だった2つのホームページを立ち上げ生まれ変わります。
まず、明日から「南十字星の観劇ノート」(southern-cross-couple.com) を開設いたします。
今まで同様、歌舞伎観劇が中心になりますが、
観劇のみのHPになりますので、今まで以上に書く力をつけながら観劇記を書かなくてはなりません。
自分の感性で、観たままに文字を綴るという作業は思った以上に難しく、観る以上に勉強になります。
渡辺保さんのような立派な劇評が書けるように頑張ります。
もう一つは、「生田緑地フィールドノート」(ikutaryokuti.southern-cross-couple.com)です。
生田緑地で見られる生物の図鑑サイトになります。
現在のところ、細かい書き込みや膨大なプログラム書き換えが必要になり、もう少し開設に時間がかかります。
「南十字星の観劇ノート」にリンクを貼っていますが、現時点では開くことはできません。
開設時期は、今年の夏頃を目標にしていますが、暑くなってくるので気力とやる気次第な感じです。
開設準備が整いましたら、「観劇ノート」にお知らせ記事を掲載いたします。
ブログは開いた人の目に否応無く写真が飛び込んでくるので、自由に生物観察の記録を載せることはできませんでした。
もっと見たままの生物に光をあてて全てを一覧にしてみたいという思いからの念願の開設です。
どちらも今までのブログと違い、写真や記事を大きく掲載します。
特に図鑑のサイトは写真がメインになりますので、今までのブログと違いスマホやタブレットに対応させた画面構成はあえて導入しませんでした。どちらのサイトも是非パソコンでご覧ください。
長い間ありがとうございました。
いままで、見てくださった方々、書き込みをいただき応援してくださった方々には心よりお礼申し上げます。
これからも、新しいWebサイトをよろしくお願いいたします。
『南十字星の観劇ノート』
『生田緑地フィールドノート』(開設準備中)
南十字星夫&妻
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オペラ『ラ・チェネレントラ』
『ラ・チェネレントラ』とは、イタリア語で「シンデレラ」のことだそうで、和訳すると「灰かぶり姫」だそうな。これも初めて知りました。
初のベルカントオペラです。

写真「COPYRIGHT(C)SHOCHIKU CO.,LTD.ALL.RIGHTS RESERVED.」
この『ラ・チェネレントラ』には、魔法使いもカボチャの馬車もガラスの靴も出てきません。
意地悪な継母は義父に替わっていて、二人の姉とともにイジメルされるところは同じですが、ガラスの靴は腕輪に替わっていたり、王子と召使いが入れ替わっていたりと喜劇仕立てになっています。
主演の二人は、史上最強のロッシーニ歌手、ジョイス・ディドナートとファン・ディエゴ・フローレスでMETの解説によると現代の奇跡だそうです。
ロッシーニ歌手と言われるだけあって、いままで観たオペラとは歌い方がまったく違っていました。横隔膜を目一杯使う独特な歌い方で、これがベルカント唱法というのか〜と感心して観てました。これは、大変そうです。ちょっと真似てみましたがとても続けてできるような歌い方ではありません。
オペラも歌唱法によって専門の歌手がいるんだなとまた一つ知りました。
新しい分野はいいですね。全てが新鮮で知らないことだらけなので一つ一つ理解していくのが楽しいです。
ジョイス・ディドナートは今回でこの役は終わりにするそうで、貴重な映像になりそうです。まだまだ十分大丈夫そうな気もするのですが、プロにとってはまた違うのでしょうね。
オペラTV観劇もこれで4作目になりました。
だいぶはまってきたので、そろそろ生の声が聴きたくなってきています。
ロッシーニ『ラ・チェネレントラ』 2014.5.10メトロポリタン・オペラハウス
演出 チェーザレ・リェーヴィ
指揮 ファビオ・ルイージ
ジョイス・ディドナート(アンジェリーナ/チェネレントラ)
ファン・ディエゴ・フローレス(ドン・ラミーロ王子)
ルカ・ピザローニ(アンドーロ)
アレッサンドロ・コルベッリ(ドン・マンフィコ)
ピエトロ・パニョーリ(ダンディーン)
3時間24分 イタリア語
「ムラサキカタバミ」
生田緑地に接する我が家には、
勝手に種子が飛んできて芽吹いたり、昆虫なども侵入してきます。
家の周りには、取っても取っても草が生え、
洗濯物を干している最中に窓から入ったのか、家の中でも様々な昆虫達にお目にかかります。
自然豊かなところに住んでいると色々なことに出逢うものです。
玄関脇にいつのまにか咲いていた「ムラサキカタバミ」。
たしか、昨年はなかったような・・・?

「ジンガサハムシ(陣笠葉虫)」
面白い昆虫を見つけました。
丸くって、透明で、金色に輝いてます。
大きさは、5〜6㎜ってところでしょうか?
調べてみると名前は、「ジンガサハムシ」。和名は、陣笠葉虫です。
言われてみれば、丸い笠みたいに平べったい。
昆虫は面白いですね。

オペラ『カルメン』
オペラTV観劇のお次は、ビゼーの『カルメン』です。
一演目が長いので、数回に分けて観ていますが、週一ペースでだんだん慣れてきました。

写真(

『カルメン』は、知っている曲が多くて楽しいです。
良く知っている曲が、こんな歌詞でこんな場面で使われるんだなと、これまた新鮮です。
ライブビューイングの演目紹介では、「追う女と追われる女の永遠の愛の悲劇!」と書かれています。
オペラのキャッチフレーズはなかなか言い得て妙で、歌舞伎もこういうところは見習って欲しいです。
カルメン役のアニータ・ラチヴェリシャヴィリ(写真中央)がなんといってもはまり役で、手練手管で真面目なドン・ホセをどんどん魅了していきます。真面目な者を陥れると、最後は悲劇というのがお決まりで、物語としてはとても分かりやすいです。
ここまで3作品を観てきて、オペラのテーマは全て愛なんじゃないかなと思い始めてきました。
愛の形や表現もいろいろありますが、声を主体とする演劇としてはやっぱり愛をテーマにするのが相応しいのかもしれません。
それと、オペラにはなぜこんなに大勢の人達が出演しているのかという疑問も、分かってきました。
オペラのメインは、やはりアリアの独唱で次に複数の人で唄うアンサンブルですが、重要な場面ではコーラスが結構活躍します。このコーラスをやるのに大勢の人が必要なんだなと分かりました。生オーケストラがもちろん付いていますが、楽器はあくまでも伴奏です。オペラのメインはやはり人の声ですから、楽器はあくまでも声を補う補助的なものという位置づけのような気がします。
だんだんとオペラが楽しくなってきました。
次は、ロッシーニを観る予定です。
ビゼー『カルメン』 2014.11.1メトロポリタン・オペラハウス
演出 リチャード・エア
指揮 パブロ・エラス=カサド
アニータ・ラチヴェリシュヴィリ(カルメン)
アレクサンドロス・アントネンコ(ドン・ホセ)
イルダール・アブドラザコフ(エスカミーリョ)
アニータ・ハーティング(ミカエラ)
3時間22分、フランス語
明治座花形歌舞伎:菊之助、勘九郎、七之助そろい踏み!(夜の部)
明治座では、尾上菊之助を座頭に中村勘九郎、七之助兄弟の花形歌舞伎が上演されています。今回は「夜の部」の観劇です。

最初の演目は、井上ひさしの直木賞受賞作「手鎖心中」を舞台化した『浮かれ心中』です。
物語は、大店の若旦那・栄次郎(勘九郎)が、劇作家になろうと話題作りのため友達の太助(坂東亀三郎)に協力してもらい次々と茶番劇を繰り広げる、笑いあふれる舞台です。
勘九郎は父・勘三郎に近づけようとして、間合いが合わず空回りして笑いを取れない場面が目立ちます。勘九郎がどんなに勘三郎に似ていても、勘三郎ではありません。意識し過ぎるとかえって面白ろくなくなってしまいます。このところちょっと泥沼にはまってしまった感があり残念です。勘九郎自身の自分の道を見つけてほしいです。
その中で、亀三郎の好演が目を惹きました。良く通る声と可笑しみ溢れる太助の役柄が、この人の存在感を大きくしています。
そして、栄次郎の妻・おすずを勤めた菊之助。お笑いの舞台の中では、ちょっと浮いた存在でかみ合っていないような感じがします。ところが茶番喧嘩の場面で、いきなり女の声からドスの利いた男の声に変わった瞬間、全てを菊之助に持っていかれたような気がしました。勘九郎の頑張りも菊之助の豹変の凄さには、全く太刀打ちできません。まさに、菊之助が菊五郎へと進化している途中経過を見ているような面白さがあります。
もう一つの演目『二人椀久』は、松の大樹を背景にした幻想的な美しい舞踊舞台です。
これは、三年前新橋演舞場で観た市川染五郎(椀屋久兵衛)と菊之助(松山太夫)のコンビが素晴らしく見事だったので、それが私達の基準になります。
それに比べると、今回はかなり評価が下がるかもしれません。その理由は、まず菊之助は女方の踊りの方が断然良いからです。美しさ、艶っぽさ、踊りの巧さ、どれをとっても遊女松山にふさわしい。久兵衛の踊りも巧いですが、遊女が観たいと強く思ってしまいます。
そして、もう一つの理由は、七之助の松山太夫です。きりりとした硬質な美しさの七之助の遊女は、艶っぽさと華やかさが足りません。踊りの腕は大分上がってきたものの、夢の中に現れる幻想的は遊女松山には役不足です。菊之助の遊女のような、ハッと息を呑む美しさやオーラが無いのです。これは努力して身につけるものではないので、七之助に求めるのは酷なことかもしれません。
『二人椀久』の舞台は、本当に美しく舞踊の中でも特に好きな演目です。ピッタリと合ったコンビで踊る『二人椀久』は極上で、絶品の芸術作品だと思います。染五郎、菊之助を超えるコンビに出逢えることを楽しみにしています。
予告
当ブログをいつもご覧いただきましてありがとうございます。
2012年6月7日からスタートしたブログも早、4年近くなりました。
その間、生田緑地の自然と歌舞伎観劇記をメインテーマとして日々積み重ねてきましたが、今月末をもちましてブログを停止することにしたことをご報告いたします。
日々の写真日記であったブログは解消しますが、2つのホームページを立ち上げる準備をしています。
一つは、今まで撮りためた写真を整理し、より深くより広く生田緑地の自然を紹介する図鑑的なもの。
もう一つは、歌舞伎をメインテーマとしたものになります。
4年近くのブログアップは、とても勉強になりました。
自然の中で自らの目で発見し、写真を撮り、発見したものを同定するまでには数多くの図鑑や書籍と向合わなければなりませんでした。ネイチャーフォトを始めるきっかけは、ダイビングでの生物観察からです。もともと自然が好きだったとはいえ、生物に対してその生態とじっくりと取り組む姿勢はダイビングで養われました。
また、好きな観劇を、観た時の興奮が醒めないうちに観劇記として文章にまとめるというのも大変な作業でした。知識と語呂をたくさん持ち合わせていないにもかかわらず劇評を書いていくというのは難しくもあり、書くことによってより深く理解出来てきたと思います。今では、劇場や帰りの電車の中で、小さな手帖に早い段階での感想を書き留めるということが習慣として身に付くまでになってきました。
ホームページのアドレスやアップの予定については、また改めてお知らせします。
本日のところは、予告としてのお知らせでした。
染五郎、新作歌舞伎『幻想神空海』に挑む!
四月大歌舞伎「夜の部」は、夢枕獏原作の新作歌舞伎が上演されています。

最初の演目『彦山権現誓助劔:杉坂墓所/毛谷村』
これは浄瑠璃の十一段からなる物語ですが、歌舞伎では九段目の「毛谷村」だけが上演されることが多いです。今回は、「杉坂墓所」からの上演で毛谷村六助が置かれた状況がわかりやすくなりました。
片岡仁左衛門は、まさに今が脂が乗り切った円熟期。義理、人情に厚い六助役をさらりと自然に演じています。仁左衛門はただ出て来るだけで、舞台が華やかでパッと明るくなります。
『毛谷村』の見どころは、お園です。「女武道」の勇ましさと、六助が許嫁と知った後の女らしさ、可愛らしさの切り替えが見物です。このお園は仁左衛門の長男・孝太郎が勤めています。親子で演じる舞台は、やり易さとやり難さがあると思いますが、孝太郎も頑張っています。勇ましさと女らしさの切り替えは、少し極端でベタベタした印象がありまだまだな感じもします。もっと練れてくると孝太郎に合っている役柄だと思います。
次の演目が期待の新作『幻想神空海』です。新歌舞伎座開場式の時の夢枕獏の新作歌舞伎『陰陽師』がとっても良かったので、期待をしていました。
今回の主役も市川染五郎が、勤めています。出ずっぱりの上、台詞も多くて長く、いつもながらに大変だなぁ〜と思いながら観ていました。
空海を勤める染五郎と橘逸勢役の尾上松也のコンビで繰り広げられる不思議な世界は、結構面白いのですが、新作の難しさも露呈しています。主役は、空海なのか? 楊貴妃なのか? 登場人物の関係が、よくわからなかったり、実際登場しない人物が、物語上重要だったりと込み入った話しになっています。もっと的を絞って、簡潔にできるところは思い切り省略した方が良いと思います。
2時間20分の演目を休憩なしに上演されると、さすがに疲れます。
新作歌舞伎は、楽しみの一つですがもっと工夫が必要なのも確かです。どれだけの新作が後世に残るかは、その作品をより良いものに育てていくことが不可欠です。人気演目として頻繁に上演される作品は、長い年月をかけて練り上げ、育ててきた努力の賜物です。
夢枕獏の作品は、結構歌舞伎に向いているとは思います。幻想的な雰囲気や妖ものなどは、歌舞伎の得意技なので、この分野の新作はこれからも力を入れていって欲しいと願っています。もう一度『陰陽師』をやってほしいとも思いますし、「陰陽師」の続編を作ってほしいなと思う気持ちも強くあります。
最近、オペラを観るようになって思ったのは、時代背景を変えたり、いろいろな演出家を起用して新演出による舞台にチャレンジしてほしいなと思いました。亡くなった中村勘三郎が、野田英樹や串田和美の演出で、大胆で、面白い歌舞伎を魅せてくれたような、骨格の部分は変えないで演出による変革で新しいものを魅せてくれることも必要だと感じています。
オペラ『エフゲニー・オネーギン』
オペラTV観劇第二弾は、
チャイコフスキーの『エフゲニー・オネーギン』です。

写真(

エンディング直前の写真ですが、どうですか?
別れのシーンですけど、美しいですね〜。
これに歌が絡むんですから、それはそれは感動します!
衣装も美しく、ロシアの至宝、クラムスコイの「忘れえぬ女(わすれえぬひと)」を彷彿とさせます。
「オネーギン」は愛のすれ違いを描いた作品ですが、バレエの演目としても有名で、大好きな作品です。
バレエの方は、チャイコフスキーの作曲ではなくチャイコフスキーの曲をあっちこっちから集めて編曲した、クルト=ハインツ・シュトルツェという人の曲になっています。
原作は、プーシキンの小説でロシア人なら誰でも知っているという程有名な恋の物語。そして、ロシア語によるオペラです。オペラというものは、イタリア語かドイツ語だけと思っていましたがこれも新しい発見です。
バレエなら幕間を挟んで2時間程の物語が、オペラになると一気に3時間47分の長丁場になってきます。踊りだけで簡単に表現出来る場面でも、一つ一つに台詞がつき、しかも歌として表現する訳ですから長くもなります。このあたりが慣れるまでにちょっと時間がかかりそうです。ここは、もう少し巻いてもいいんじゃないの〜としばし思ったり・・・。
今回もソプラノのタチヤーナ役はネトレプコですが、前回観た「マクベス」の悪女と正反対の役柄です。手紙のアリアでは、素晴らしい歌声を聞かせてもらえますが、ネトレプコに合っている役柄としては「マクベス夫人」のほうかもしれません。
アリアとしては、レンスキー役のピョートル・ベチャワに魅了されました。それこそ切々と情感豊かに歌い上げ、その後の悲劇へと観ているもの全ての心を一気に持っていかれます。
このあたりが、歌のあるオペラの最大の魅力で、歌舞伎やパレエとはまた違った感動を与えてくれるのだと思います。
それにしても、アンナ・ネトレプコ・・・。生で聴いてみたくなってきました。
チャイコフスキー『エフゲニー・オネーギン』 2013.10.5メトロポリタン・オペラハウス
演出 デボラ・ワーナー
指揮 ワレリー・ゲルギエフ
マリウシュ・クヴィエチェン(エフゲニー・オネーギン)
アンナ・ネトレプコ(タチヤーナ)
オクサナ・ヴォルコヴァ(オリガ)
ピョートル・ベチャワ(レンスキー)
アレクセイ・タノヴィッツキー(グレーミン)
3時間47分、ロシア語
しんゆりフラ芸術祭

ずっとフラダンスを続けているお友達が出演するということで、
「しんゆりフラ芸術祭」に行ってきました。
会場内は、フラダンス愛好者で一杯、超満員の熱気です。
25組のフラを堪能させてもらいました。
ハワイアンも色々な曲があり、衣装もそれぞれ趣向を凝らした凝ったデザインです。
日曜日の昼下がり、とても和んだ時間を過ごせました。
好きなことに打ち込んでいる人の顔は、輝いています!
明治座:菊之助、勘九郎、七之助の花形歌舞伎(昼の部)
久しぶりの「明治座」で、気分がウキウキします。
通り沿いの桜も、最後の花びらが花吹雪となって風に舞っています。

最初の演目、『芦屋道満大内鑑:葛の葉』では、中村七之助が白狐が化けた女房・葛の葉と、本物の葛の葉姫の二役を勤めています。狐でありながら人間である保名を愛してしまった悲しみや子別れの辛さなどを情愛豊かな表現で演じ、女房と赤姫の二役を早替わりで魅せる舞台。女方としては、仕どころの多い魅力的な演目です。
見せ場の一つに、障子に大筆を使って夫の保名に書きおきの歌を書く場面があります。裏文字を書くとか、左手や口で筆を使うなど技の見せ所となっています。観客の前で実際に筆を持って、障子に書いてゆくのは緊張感もあってなかなか見応えがあります。「七之助も随分頑張っているなぁ〜!」と感じさせます。七之助の成長がうかがえる舞台です。
二つ目の演目『末広がり』:大名に婚礼に使う末広がり(扇子)を買って来るように命じられた太郎冠者(中村勘九郎)が、商人に都では末広がりとは傘のことだと騙され傘を売りつけられます。これは「末広がり」でないと怒る大名に、都で教わった小舞を囃しながら踊る、面白おかしい狂言舞台です。
踊りも巧く、ひょうきんな演技は父親譲りの勘九郎にはピッタリの役で、気楽に楽しめる舞台です。ただ気になったのが、勘九郎がまた一段と痩せてしまったことです。頬がこけてゲッソリとしているのが、とても心配です。
三つ目の演目『女殺油地獄』は、昼の部一番の見所の演目です。近松門左衛門が実話を脚色したもので、人気演目の一つになっています。油商人の河内屋与兵衛(尾上菊之助)は、放蕩の限りを尽くし、借金の返済に困り、同業の豊島屋女房お吉(七之助)に借財を頼みにいきますが断られ、殺してしまうという物語です。
菊之助の与兵衛が、素晴らしいです。勝手気ままに生きる放蕩息子の心根が透けて見えるような表現と、お金を貸しくれないお吉に対する怒りが狂気へと変わってゆく心情を見事に表現しています。鬼気迫る凄みがオーラのように感じられ、菊之助とういう役者の大きさがどんどん大きくなっていくのを目の当たりしました。
殺しの場面は、最近では前列から二〜三列目までの観客にビニールシートを配り、油の量をたっぷりと使って水かぶりになるようなエンターテイメントと化した舞台が多くなっています。しかし、今回はエンターテイメント性は排除し、演技を重視した、とても良い舞台でした。油まみれの立ち回りでは、菊之助と七之助の転び方は「人形浄瑠璃」の演出に近いような動きです。
圧巻は、殺しの後の幕切れの花道の引込みでした。夜も明け始め明るさが差し込んできた舞台。ただならぬ気配に犬の遠吠えがあちこちから聞こえます。狂気から醒めてきた与兵衛は、自分の犯した罪と犬の遠吠えに怯え、足は震え、身体を震わせながら花道を去ってゆきます。余韻の残る素晴らしい舞台でした。
今回の『女殺油地獄』は、物語性を重視した演出で奇をてらったものをそぎ落とした重厚な出来映えで、「花形歌舞伎」の域を超えているように思われます。歌舞伎の原点に立ち返った、素晴らしい舞台でした。
四月花形歌舞伎 明治座 昼の部
一 芦屋道満大内鑑 葛の葉
二 末広がり
三 女殺油地獄
待ちに待った、幸四郎の『不知火検校』!
三年前、新橋演舞場で『不知火検校』が上演された時は、その面白さにはまり4回も観に行きました。
後からもっと観ておけばよかったと後悔(笑)するほどの舞台でした。
それからというもの、新歌舞伎座のアンケート用紙にせっせせっせと『不知火検校』の再演の要望を書きまくり。
願いはかなうものですね〜 ♪
な・な・なんと!ついに希望が叶い、今月「昼の部」で『不知火検校』が上演されています。


歌舞伎俳優・立役の醍醐味は、「悪の華」を演じることです。その「悪の華」の中でも『不知火検校』は最大級の悪党で、それを松本幸四郎が勤めています。この役をできるのは、幸四郎を置いて他にはいません。極悪非道も極めると、ここまで来るのか?という、ある意味清々しさを感じます。
配役は三年前とほとんど変わりませんが、前回の方がパーフェクトな配役でした。検校を取り巻く悪党三人のうち二人が、中村橋之助→市川染五郎、中村亀鶴→尾上松也へと変わったことにより、「悪」が弱まってしまった気がします。
正直、三年前に観た時ほどの衝撃はありませんでした。なんでも最初に観た時は、インパクトも感動も一番大きいものです。それでもこの舞台は、やっぱり素晴らしい。勝新太郎が演じていた『座頭市』の原作にあたるものです。見比べてみるとわかりますが、不知火検校は桁外れの大悪党で、勝新太郎の座頭市は、つまらない小悪党だな〜と感じてしまいます。
悪の限りを尽くした検校がお縄になり、引込みの花道で最後に吐く台詞は、圧巻です。
『てめぇら俺のことを人でなしと言うたな。人非人と言うたな。
確かに俺は、人非人の人殺し。だが人をののしるその前にてめぇのことを考えてみろ。
おめぇたちゃ、ちっぽけな肝っ玉に生れついたばっかりに、俺のようなまねも出来ず、
目明きのくせに面白いことの一つも見ず、せいぜい祭りを楽しむのが関の山。
そこにいるお役人方も同じだぁ。
みんな毎年無駄に一つずつ年をとり、こぎたねぇババアやうすぎたねぇジジイとなり、
挙げ句の果てにゃ、くだらなく野たれ死んでしまうんだ。
思えば不憫でみじめなやつらだ。
どうだ! 思い上がったか! わっはっははははははは〜!』
これを聴くと、何だかスカッとします。これを聴くために来ているといっても過言ではありません。
最初は笑っていた場内の観客も、途中からシーンと静まり返ります。
この台詞、役者冥利に尽きるでしょうね。
満座の客席に向かって一度言ってみたい台詞です。
悪いことはもちろんいけませんが、人生の最後にこれだけの啖呵が切れるだけの自信をもった、やりたいことをやり尽くした人生をおくりたいものです。
この舞台は、もう一度一階席で観に行きます。それが『不知火検校』の見納めになるかもしれません。
この演目をやる俳優は、当分出てこないでしょう。幸四郎も年齢がいっているので、多分この役は最後だと思います。この舞台を観ないと後悔するかもしれません。もし観てみたいという方、席はまだ空いているようなのでチャンスはまだあります。
昼の部最後の演目、身替座禅もとても面白いですよ。
四月大歌舞伎 歌舞伎座 昼の部
一 松寿操り三番叟
二 沖津浪闇不知火《不知火検校》
三 身替座禅
オペラ鑑賞始動
舞台大好きの南十字星ですが、
唯一、まだチャレンジしていないのが「オペラ」です。
前々から気になってはいたものの、日本では良質のオペラに日々接する機会がなく、
来日公演は、なまなかな覚悟では手が出せないぐらいの高額で、これはちょっと無理かな〜と思って諦めていました。
それが変わってきたのが、ニューヨークに行ってからです。
ニューヨークのメトロポリタン・オペラハウスに行って刺激を受けました。
ここに来れば、一流のオペラを気軽に観ることが出来ると。
見て鑑賞するものでも、自らが行って楽しむものでも、数多く触れてこなさなければ決して自分のものになりません。スポーツの基本練習で、身体に覚えさせないと上達しないのと同じで、観劇も数多くみることによって鑑賞眼が深まっていきます。まずたくさん観て、勉強は後からというのが私達のいつもの観劇スタイルです。
WOWOWで、メトロポリタンオペラのライブビューイングを流してくれています。
今年から、猛然とオペラのテレビ観劇がスタートしました。

写真(
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最初に触れたのが、ヴェルディの「マクベス」です。
主演は、現在最高の歌姫「アンナ・ネトレプコ」。
メトロポリタンオペラのライブビューイングは松竹が主催なので、いつも歌舞伎座にポスターが貼られていて気になっていたのも幸いしています。
この「マクベス」を観て、一気にオペラは面白いかも。。になってきました。
究極の悪女マクベス夫人。森に巣くう大勢の魔女達。魔女達に惑わされたマクベス。
まだ、初めて観たので色々な疑問が頭に浮かびつつも、ネトレプコの熱演にどんどん引込まれていきます。
斬新な演出、豪華な衣装と舞台、大勢のキャストによる合唱、切々と歌い上げるアリア、映像は字幕付きなのでとても分かりやすいです。
一演目の時間としては、幕間を入れて3時間超えとちょっと長いのが気になります。
節目節目で切々と歌い上げる場面があるので、バレエよりも展開がだいぶ遅い気がします。
それでも、思いのほかのめり込める感じがしたので好印象のスタートになりました。
ヴェルディ『マクベス』 2014.10.11メトロポリタン・オペラハウス
演出 エイドリアン・ノーブル
指揮 ファビオ・ルイージ
アンナ・ネトレプコ(マクベス夫人)
ジェリコ・ルチッチ(マクベス)
ルネ・パーペ(バンクォー)
ジョセフ・カレーヤ(マクダフ)
3時間18分、イタリア語
鎌倉の桜はこれからが見頃です
年に数回訪れる鎌倉。
数年前からは、友人と鎌倉三十三カ所巡りを楽しんでいます。
昨日は、極楽寺からスタートし鎌倉駅周辺まで七ヶ寺を巡ってきました。

のんびりした雰囲気が昔から変わらない極楽寺駅。青春ドラマ「俺たちの朝」を思い出します。

大仏様も化粧直しがすんで、すっかり綺麗になりました。左頬に金の後が見つかり、建造当時は金色に輝いていたのかもと調査が進められています。この位置から見ても金色の部分がハッキリと分かります。

長谷寺では、三椏が見頃を迎えていました。

こちらは赤い三椏。生田緑地にはないので初めて見ました。

八幡宮参道の段葛も改修工事が終わり、30日に通り初めが行われました。中村吉右衛門が奉納舞を舞ったそうなので観たかったです。鎌倉の桜の名所だった桜のトンネルは、若木に植え替えられました。鎌倉の桜は東京より少し遅いので、まだ五分〜三分咲きってところでしょうか。周囲の路面より少し高くなった段葛は眺めがとてもよくなりました。足元も石張りでとても歩きやすいです。
ますます外国人観光客が多くなった鎌倉は、人人人で凄い賑わいです。
外国人も御朱印を集めている人が多いのにビックリしました。