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納涼歌舞伎(第三部)




 いよいよ、「納涼歌舞伎」も最後の第三部の幕開けです。


芋掘長者板絵
 
 『芋掘長者』は、平成十七年に歌舞伎座で十世坂東三津五郎が新たに振り付けて、45年振りに復活させた作品です。その思いを引き継ぐ巳之助が、踊ります。
 物語は、踊りの苦手な芋掘藤五郎(中村橋之助)のために、舞上手の友達・治六郎(坂東巳之助)が、面を付け藤五郎のふりをして踊り、恋を成就させるというものです。踊りが上手い役者でなければ勤まらない演目です。
 巳之助は、確かに踊り上手ではあるのですが、翁の面をつけて踊るには、若過ぎました。面を付けて踊る場合は面に合わせなければならないのに、面と踊りが不調和で、まだまだ固く青いのです。もっと力の抜けた柔らかさ、しなやかさを必要とする舞踊で残念ながら今の巳之助では、まだまだな感じです。もっともっと修行を積み、年齢を重ねれば素晴らしい踊りができるようになると思います。
 橋之助は、おどけた踊りもこなす舞踊の上手い役者です。なかなか良い味を出しています。さすが主役を張るだけのことはあります。


祇園恋づくし板絵 

 『祇園恋づくし』は、祇園祭を背景に都人と江戸っ子の意地の張り合い、恋愛模様を描いた作品です。
 中村扇雀が、大津次郎八と女房おつぎの二役を演じますが、これが最高に面白いです。立役と女形の両方、それも夫婦を一人で演じ分け、素晴らしい舞台を作り上げています。江戸の指物師留五郎を中村勘九郎が、また見事に演じています。江戸っ子の粋、台詞の速さ、立ち回りの切れ味、踊りの上手さ、どれをとっても申し分ありません。

 主役が二人いるこの舞台にあって一際存在感を示したのが、実は巳之助です。どこまで行ってしまうのか?予想もつかない可能性を秘めた役者です。三津五郎にはない面白さとセンスを持っています。まさにダイヤモンドの原石です。その原石を見いだしたのが、猿之助でした。昨年の新春浅草歌舞伎『上州土産百両首』で、ちょっとドジでおバカな役を演じ、主役の猿之助以上に強烈な印象を放ちました。あれから、一年半の間に父・三津五郎を失い、余りにも多くの経験を重ね、役者としても一回りも二回りも大きく成長したような気がします。凄い役者になるのでは?という期待が、ますます大きくなっています。

 中村座を中心として催される「納涼歌舞伎」は、いつも面白くて楽しい演目が多く上演されます。やっぱり、こういう面白い演目を待っていた!のだと、強く感じます。
 勘三郎が築いた平成中村座は、お客さんとの距離が近く、場内全体に客と役者との不思議な一体感のようなものが生まれます。こんな歌舞伎は、他ではなかなか感じられません。勘三郎亡き後の一座でもその伝統は引き継がれていて、大向こうの力の入り方もやはり違うように感じます。
 面白い役、馬鹿げた役のできる役者が少なくなってしまったため、こういう演目が上演されることも少なくなってしまいました。それが残念でなりません。中村座にはこれからも頑張っていってほしいと願わずにはいられません。







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テーマ : 歌舞伎
ジャンル : 学問・文化・芸術

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 自然観察と歌舞伎が大好きな夫婦でつくっているブログです。生田緑地と伊豆海洋公園をフィールドにネイチャーフォトを楽しんでます。

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