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「白鳥の湖」〜国立モスクワ音楽劇場バレエ〜




 「エスメラルダ」に続き、国立モスクワ音楽劇場バレエの「白鳥」に行ってきました。
 ブルメイステル版『白鳥の湖』は、初めてです。
 王女オデットが白鳥に変えられてしまう序章の場面と、愛の力で人間に戻るという終結場面を導入したものです。また、チャイコフスキーの曲の構成を復活させ、曲の順番をできる限りオリジナルに戻して物語をわかりやすくしています。いつもの『白鳥の湖』とどう違うのか?期待の膨らむバレエでした。

モスクワ白鳥


 まずは、王子さま(ジークフリート王子)ですが、先日観た『エスメラルダ』のフロロ役のゲオルギー・スミレフスキです。あまりにも前回の「エロおやじ、破戒僧」のイメージが強くて、王子さま?として見れないのではという大きな不安がありました。その不安も「王子さま」が出てきた瞬間、跡形もなく消えました。背が高く、とても特徴的なその容姿が際立ち、凛々しい王子さまになっています。

 オデット/オディールは、エスメラルダを演じたエリカ・ミキルチチェワです。エスメラルダは、はまり役で抜群の出来でしたが、オデットにはちょっと役不足な感じが否めません。『白鳥の湖』はザハーロワが基準になってしまうので、どうしても評価が厳しくなってしまいますが、それを差し引いてもちょっと物足りなさがあります。切なさや微妙な表現に奥深さが足りないこと。その他大勢の白鳥の中にいると埋もれてしまい、多くの白鳥の一羽でしかない。つまり、プリンシパルとしての存在感やオーラが無いということが(もちろんザハーロワと同じレベルは無理としても)致命的かもしれません。若くて初々しいうぶな雰囲気は、とても良かったですが。
 オディールは、彼女の良さが発揮され活き活きとしていました。チャーミングな笑顔に王子さまの心も射抜かれたようです。

 ブルメイステル版の序章は、通常の幕が開くまでの序曲の間に行われます。序曲が始まると一旦幕が上がります。オデットがロットバルトに魔法をかけられ白鳥の姿に変えられてしまう短い場面を見せ再び幕が下がり、通常の始まりに戻ります。物語の進行としてはこの場面があると最後までストーリーが完結することになり分かりやすいのかもしれませんが、とって付けたような印象が否めません。演じるには、あまりにも短い間なのでちょっと余韻が無い感じです。

 今回の振り付けで最も驚いたのは、「ロットバルト」が全く踊らないのです。岩の上から巨大な黒い羽を翻すとか、舞踏会に騎士に化けて多くの手下を従えて現れ、魅惑的な踊りを配下に踊るよう指示するのですが、ロットバルト自身が踊ることは最後までありませんでした。ちょっと残念(泣)!!

 黒鳥のパ・ド・ドゥで演奏される曲もいつもと違います。「新発見曲」といわれるチャイコフスキーが第2キャストのバレリーナのために追加作曲したものだそうですが、優雅な曲調から時折顔を見せる妖しい旋律と終盤へ向けての盛り上がりがなかなか好印象でした。

 一番気に入ったのは実は衣装です。今まで観た『白鳥の湖』の中で最も豪華で、色調が見事で卓越したセンスの良さが随所に感じられました。こんな素敵な衣装を着ることができるだけでも、ダンサーは幸せだと思えるほどです。あまりの色使いの素晴らしさに踊りよりも、衣装にばかり目が奪われて「さながらファッションショーを見ているような気分」に浸っていました。衣装担当に「ブラボー!」最高傑作賞をあげたいです。


 いつもとは違う『白鳥の湖』は、物語性を重視していて芝居的な要素もあり、今まで聴いたことの無い曲に出逢えたりと、新鮮な舞台を堪能できました。


ブルメイステル版「白鳥の湖」
    オデット/オディール     エリカ・ミキルチチェワ
    ジークフリート王子      ゲオルギー・スミレフスキ
    王妃             マリア・ポタポワ
    ロットバルト         イワン・ミハリョフ
    道化             アレクセイ・ババイェフ








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テーマ : バレエ
ジャンル : 学問・文化・芸術

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南十字星

Author:南十字星
 自然観察と歌舞伎が大好きな夫婦でつくっているブログです。生田緑地と伊豆海洋公園をフィールドにネイチャーフォトを楽しんでます。

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