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帰ってきた「平成中村座」〜十八世中村勘三郎を偲んで〜






 今月は、浅草に3年ぶりに「平成中村座」が帰ってきました。この3年の間に座頭の勘三郎、盟友の坂東三津五郎を失い、病気療養中で出演できない中村福助と・・・柱を無くした「平成中村座」がどうなるのか? ファンならずとも気になっていたところです。ましてや応援団としては「平成中村座」の行く末を心配せずにはいられません。いろいろな思いを胸に浅草寺裏の芝居小屋にやって来ました。

中村座
 江戸時代の芝居小屋を再現した仮設小屋です。平場は座椅子に座布団、ひしめき合うようにお客さんが舞台を取り巻きます。花道も舞台も手が届く程の近さで役者を間近に感じられます。歌舞伎座と違う中村座の定式幕に大きな釣提灯、気分も盛り上がります。今回の座席は、2階の花道上の後方です。こんな雰囲気で舞台が見えます。


勘三郎の目 
 十八世中村勘三郎にちなんで、場内に勘三郎の『目』が18カ所あるそうですが、見つけられたのは7つだけ。それも血眼になって探している中村座ファンに教えてもらって、これだけ(泣)。18カ所全部探せたら凄い!


 今回は「昼の部」にかけました。と言うのは「平成中村座」は、芝居小屋を特設するため料金がどうしても高くなってしまいます。しかも昔ながらの小屋仕立てなので、決して居心地が良い環境ではありません。5時間近い観劇では、足腰も痛くなりますし、昨日のような底冷えの日には寒さも応えます。なかなかしんどいのです。


 3年振りの中村座。仕立てでは、橋之助と彌十郎が引っ張っている構図にはなっていますが、そこは中村座です。お客さんのお目当ては、当然、中村勘九郎と七之助兄弟に注がれます。そして、今回一番の収穫は、勘九郎は希代の名優になるであろう可能性を存分に秘めたその片鱗を感じたことでした。


 『勧進帳』では、武蔵坊弁慶を中村橋之助、富樫左衛門を勘九郎が演じています。橋之助の弁慶は、一本調子で迫力に欠けます。緩急、強弱が無く、台詞や動きが頭に入って一通りはできた。。。という域に留まっています。大酒を呑んで酔っていくところに物足りなさがあり、特に酔った後の踊りが白面の踊りになってしまっています。全体として見ても、勘九郎の富樫がうまかったので、弁慶が迫力負けしている印象を受けてしまいました。
 
 『魚屋宗五郎』の勘九郎は、ハッとするものがありました。最近、三津五郎の追善番組で三津五郎が40代の頃の『魚屋宗五郎』を見ましたが、それに劣らぬ巧さがあるのです。丁寧できめ細やかな表現力は、三津五郎に劣らない演技力があります。間の取り方や芝居のリズム感は、父親・勘三郎譲りの感の良さとユーモアのセンスを兼ね備え、ものすごい役者になる予感があります。女房おはま役の七之助とも息がピッタリでその相乗効果は、芝居をより高みへと押し上げているようです。芝居は、コンビがとっても重要です。この二人は抜群のコンビへと成長してきています。

 勘九郎には、ぜひ『勧進帳』の弁慶、『髪結新三』の新三をやってほしいと思います。ますます目の離せない役者になってきました。いずれ父勘三郎、盟友三津五郎を超え、当代の吉右衛門、菊五郎をも超えていく存在になっていって欲しいです。
 これからが、本当に楽しみです。







平成中村座 陽春大歌舞伎 昼の部
  一 双蝶々曲輪日記 角力場
  二 勧進帳
  三 魚屋宗五郎













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テーマ : 歌舞伎
ジャンル : 学問・文化・芸術

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Author:南十字星
 自然観察と歌舞伎が大好きな夫婦でつくっているブログです。生田緑地と伊豆海洋公園をフィールドにネイチャーフォトを楽しんでます。

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