やってきました! 納涼歌舞伎!
熱帯夜の続く酷暑の中、歌舞伎座では恒例の納涼歌舞伎が開催されています。
毎年、故中村勘三郎が中心となった中村座率いる「納涼歌舞伎」を楽しみにしていました。坂東三津五郎も復帰して、今年の納涼歌舞伎は、どんなものを魅せてくれるか?楽しみです。


納涼歌舞伎は、三部制です。それぞれ二つの演目で、上演時間も短く暑さを凌ぎつつ、笑ったり、ぞくっとしてみたりと夏にふさわしい演目が選ばれます。
今回第二部の見物は『たぬき』です。大佛次郎作・演出による新作歌舞伎は、昭和28年7月に初演されました。
江戸深川の火葬場で、急死した柏屋金兵衛(三津五郎)の葬儀が営まれてます。葬式も終わり日もすっかり暮れた頃、死んだはずの金兵衛が生き返り、全く別人として新しい人生を歩み始めますが・・・。人間の心理を描いた皮肉の効いた喜劇です。三津五郎が10年前に金兵衛役で上演されてから、実に10年振りです。太鼓持・蝶作を中村勘九郎(10年前は勘三郎)が、演じています。
さすがは三津五郎、素晴らしい出来映えです。ただ、病み上がりのためか? 盟友・勘三郎を失った寂しさか? ちょっと、生彩の欠ける感じがあったのが気になりました。
それに引き換え、勘九郎は笑わせどころの言い方、間の取り方が勘三郎にそっくりで、声も良く似ているので、勘三郎が舞台に立っているように思えます。どこか吹っ切れて、突き抜けた勘九郎がそこにはいました。息子の七緒八も、台詞あり?の出演で舞台を多いに盛り上げてます。
一幕見席のチケット

第三部のメイン演目『怪談乳房榎』は、何度も観ているのでチケットを購入しませんでした。ただ、もう一つの演目『勢獅子』が気になっていたので、第二部の公演終了後、一目散に「一幕見席券売場」へと向かいました。90番までは座席がありますが、91〜150番までは立ち見です。

一幕見席は、結構いっぱいです。椅子席2列とその後ろの立ち見席、そのまた後ろのお立ち台席にもお客さんがいます。とっても国際色豊かで、アジア系、欧米系と色々な言語が飛び交っています。お客さんの半分以上が、外国人といった感じです。

華やかな江戸の大祭の風情を魅せる、歌舞伎舞踊の一つです。中村座は、昨年4月杮茸落公演で上演された十八世中村勘三郎に捧ぐ『お祭り』といい、お祭りを題材にした舞踊のバージョンをいくつも持っています。
お神酒所に鳶頭や芸者たちが勢揃いして、ほろ酔い気分で踊りを披露します。特に、獅子舞はこの演目の最大の見所で、ひとりが獅子頭を被って前足、もうひとりが後ろ足となって二人が呼吸を合わせて踊る様は圧巻です。そして、最後にこの獅子舞の二人が顔を見せると、獅子頭は坂東巳之助が、後ろ足は中村勘九郎でした。獅子舞も凄いけれど踊りも上手いし、誰か?誰か?と観ていると・・・なるほど納得の役者です! あっぱれ、中村屋! あっぱれ、大和屋!
実に、楽しい舞台でした。『たぬき』は、一回だけではもったいない。もう一度観ることにしちゃいました。
八月納涼歌舞伎 歌舞伎座 第二部
一 信州川中島合戦 輝虎配膳
二 たぬき
八月納涼歌舞伎 歌舞伎座 第三部 一幕見
一 勢獅子
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