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人形浄瑠璃「文楽」の勧進帳は?




 国立劇場の小劇場では、文楽の七世竹本住大夫さんの引退公演が開催されています。住大夫さんは、第一部に出演されていますが、私たちは第二部の演目に惹かれて観にきました。残念ながら、第二部に住大夫さんは出演されていませんが、ポスターや写真、DVDなど数多くの住大夫さんグッズが目につきました。


五月文楽

 第二部の演目2つは、どちらも歌舞伎でもよく上演される人気作品です。それらが、人形浄瑠璃ではどうなるのか? それが一番の楽しみでこちらを選びました。

 最初の演目『女殺油地獄』:この演目のクライマックスは、何と言っても河内屋の与兵衛が、豊島屋でお吉を殺す場面です。店の油をひっくり返し、足を取られながら斬りつける凄惨な場面を油を使わずに人形の動きだけで表現しています。油ですべった動きの激しさとスピード感を人形遣いの3人が、大汗をかきながら動き回る様は、想像以上の面白さです。
 歌舞伎では、実際に油(舞台で使う特殊なもの)を大量にまいて、本当にすってんころりんします。人形との対比を思い浮かべながら見ると、一段と楽しめます。

 二つ目の演目が『鳴響安宅新関(なりひびくあたかのしんせき)ー勧進帳の段ー』:こちらは、歌舞伎の「勧進帳」をそのまま人形浄瑠璃にしたものです。最初の演目は文楽を歌舞伎にしたのに対し、歌舞伎を文楽にした作品なので全く逆のバージョンです。
 人形が、歌舞伎と全く同じ動きをします。正直なところ、これは失敗作だと思います。弁慶と富樫が対峙するところは、距離が離れすぎていて迫力に欠けます。弁慶が大酒を飲んで一差し舞う場面は、人形遣いが3人で人形と一緒にバタバタしているようにしか見えないし、弁慶の飛び六法は、ちょっと悲しくなってしまうような動きです。頑張っているのは、ひしひしと伝わってくるのですが、何も人形でやる必要はない気がします。
 
 「安宅」「勧進帳」は、私たちにとっても思い入れの強い作品です。歌舞伎、能、文楽とすべてを見比べて、一番は能の「安宅」、次は歌舞伎の「勧進帳」、文楽(人形浄瑠璃)は??で滑稽さが目立ちます。それぞれの演出や表現方法があり、人形には人形の良さがあるのでそれを大事にしてほしいなぁ〜と感じるものがありました。


 歌舞伎、能、文楽を同じ演目で見るのは、とっても面白いです。比較検討して、あ〜でもない!こうでもない!と考えることは、自分の観る目を鍛えることにもなります。




文楽五月公演 国立劇場小劇場 夜の部
 一 女殺油地獄  徳庵堤の段
          河内屋内の段
          豊島屋油店の段
 二 鳴響安宅新関 勧進帳の段






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Author:南十字星
 自然観察と歌舞伎が大好きな夫婦でつくっているブログです。生田緑地と伊豆海洋公園をフィールドにネイチャーフォトを楽しんでます。

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