巡業初日
歌舞伎には、大相撲のように地方巡業というものがあります。
夏を中心に、毎年3つぐらいの座組が一ヶ月の巡業公演で全国を回ります。
今年最後の巡業が、今日、日本青年館を皮切りにスタートしました。
坂東三津五郎を座頭に、尾上菊之助、坂東彌十郎、坂東巳之助、尾上右近、坂東秀調という座組でしたが、三津五郎が膵臓癌の手術で休演のため、菊之助が初座頭を務めます。
公演終了後は即日移動して、明日は、岩手一関文化センターです。その後、北海道から沖縄まで全国18カ所を巡るハードスケジュールをこなします。歌舞伎役者にほとんど休みはありません。人気役者ほど大変で、愛之助は10年間、1日も休みがないそうです ^^;

この日本青年館も、2019年の東京オリンピック決定のため来年取り壊しが決定しています。三代目の日本青年館は場所を少し変えて建設される予定です。昔懐かしの『8時だョ!全員集合』はここで公開収録されていました。
巡業公演は、少ない人数でやりますから、出来る演目は限られてきます。時代物や荒事は、大道具も衣装も大変なので世話物一つと舞踏一つという組み合わせが多くなります。
本日の演目も「野崎村」と「江島生島」。どちらも名作ですが、「野崎村」は竹本による義太夫語りが多く、「江島生島」も長唄の名曲舞踊。当然この組み合わせでは、常日頃から歌舞伎を見慣れている人でないとあっという間に睡魔に襲われます(笑)日本人には、心地よすぎる旋律です。隣のおばさんはイビキをかいて寝ているのには参りましたけど ^^;

「盲腸のような花道」

帝国劇場をはじめ、全国の市民館公民館で良く見かける、舞台端に控えめにある「花道」。「盲腸のような花道」と昔から言われています。
巡業公演の面白いところは、専用の大劇場と違って舞台設備が整っていない分、工夫が見られるところです。機械で出来ないところは人出をかけてやり、花道が短かったり、ないところは、役者も出入りを工夫します。
今日の花道は水路に見立てて、小舟が入る最終場面があります。全身水色の服を着た黒子(青子なのかな?)が三人出てきて人力で舟を花道に通しました。その努力に拍手を贈りたいです。
スポンサーサイト