義経千本桜(前半)
今月の大歌舞伎は、昼の部・夜の部を通し狂言「義経千本桜」一本で上演されます。
歌舞伎座正面の懸垂幕に演目名が入ったのを初めて見ました。通常は、「◯月大歌舞伎」とか「◯月花形歌舞伎」と書かれています。さすがは、数ある歌舞伎演目の中でも屈指の名作「義経千本桜」の通し上演です。

台風通過中にもかかわらず、南風で澄み切った秋空。新歌舞伎座がよく似合います。
本日の一階一等席からの花道の眺め ♪

今月は、杮茸落公演集大成のような演目、配役なので一等席を奮発しちゃいました! 新歌舞伎座では、初の一等席です。大好きな花道際、歌舞伎座定紋が刺繍された真新しい座席、広々と足を組める空間。ちょっと一等席に慣れてなくて落ち着かないけど、年に一度は試したい上質な時間です。
今月の配役!

現在これ以上の役者は考えられない配役です。
『義経千本桜』は、歌舞伎の中でも最も有名な狂言の一つです。物語は、源平合戦の後日談。源頼朝に都を追われる義経の流転に引き寄せられる、狐忠信、知盛、いがみの権太の三人の主人公により全5段からなるもので、各段ごとにオムニバス形式で描かれています。人気の作品で、各段単独で上演されることが多く、さまざまな役者によって上演を重ねてきています。
前半の設定は、壇の浦で滅びたはずの平家の武将(平知盛)が実は生きていたというものです。
序 幕「鳥居前」 : 花形役者の尾上松緑、尾上菊之助が中心となっています
二幕目「渡海屋・大物浦」 : 中村吉右衛門、中村歌六、中村梅玉、中村又五郎ほか
三幕目「道行初音旅」 : 人間国宝二人の尾上菊五郎、坂田藤十郎による舞踊
今回の見所は、「渡海屋・大物浦」: 義経一行は、九州へ逃れるため大物浦の渡海屋で船出を待っています。渡海屋の主人銀平は、実は壇の浦の合戦で死んだはずの平知盛(中村吉右衛門)。源氏への復讐心に燃える知盛は、白装束で幽霊姿となって義経を追いますが返り討ちに。最期は、瀕死の身体に碇綱を巻き付け海に身をなげます。
船宿の主人銀平から平知盛に変わった時の銀糸使いの白装束と銀色の兜は、目にも眩しく神々しさと美しさが際立っています。返り討ちに遭った後の血塗られた白装束。髪を振り乱した復習鬼と化した知盛の形相は、鬼気迫る迫力と壮絶な最期へと続く悲壮感が全身から沸き立つようでした。「吉右衛門ここに極まり!」・・・観ている方も全身がしびれるような感動が走ります。最も円熟した最高の演技とは、このことではないか?と思います。その瞬間に立ち会えたことに感謝したい気持ちです。
今日のお供

豆いっぱいの豆大福は、腹持ちが良いです。
一等席で観るにふさわしい素晴らしい歌舞伎を堪能しました。
花道を駆け抜ける振動を肌で感じ、役者の表情も双眼鏡なしで楽しめる席は、舞台の醍醐味を何倍も味わうことができます。やっぱり一等席は、良いなぁ〜!
《お知らせ》
本日から、写真を大きくしました。
ipadで写真が切れない限界の大きさです。携帯やスマホでは入り切らないかもしれません。
カテゴリーも再編集しました。
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