いやさお富、久し振りだなぁ
今月は、新歌舞伎座杮葺落興行の他に明治座で花形歌舞伎の興行もあり、また忙しい観劇三昧の月になりました。
「明治座定紋」

明治座正面玄関に掛かる明治座定紋は「丸に大和桜」です。明治座という名前のとおり、明治六年喜昇座として開業以来130年以上の歴史がある日本が誇る劇場の一つです。震災や空襲による消失を繰り返し、現在は平成五年七代目となる明治座が建っています。
「六代目中村勘九郎」

昨年亡くなった十八代目中村勘三郎の長男です。
昼の部、最初の演目は「実盛物語(さねもりものがたり)」です。平家の武将斎藤実盛と源氏ゆかりの人たちが織りなす哀しい時代物です。実盛役を勘九郎が務めました。
以前にも書いたように勘九郎の声は、父勘三郎にそっくりでそこに勘三郎が居るような錯覚を起こします。昨年の襲名以来、勘九郎の舞台を多く観てますが、勘三郎が亡くなってから伸び悩んでいるように感じられます。偉大な父を亡くした喪失感と、その跡を継いでゆくものとしての重責がぐっとのしかかっているためかもしれません。観ている側も勘三郎の大きさを思わずにはいられないのですから・・・。
「七代目市川染五郎」

松本幸四郎の長男で、妹は女優の「松たか子」です。
2つ目の演目は、「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)」です。「切られの与三郎」と言った方が通りがいいかもしれません。美男美女の与三郎(市川染五郎)とお富(中村七之助)が、互いに一目惚れし、その後密会が見つかり与三郎がなぶり切りにされます。お富は身投げするのですが・・・「死んだと思ったお富たァ、お釈迦様でも気がつくめえ。」と、与三郎の有名な科白へとつながっていきます。
染五郎は与三郎役にピッタリで、お富役の中村七之助(勘三郎の次男)はメキメキと上達し色っぽさが増し、あだな姿のお富役を見事に演じています。今後このコンビで素敵な舞台ができる予感がしました。ちょうど、仁左衛門と玉三郎のコンビのような・・・。
4月2日に出たばかりの「染五郎の超訳的歌舞伎」サイン本

花形歌舞伎に行くと、ときどきラッキーな事に出会います。今日は市川染五郎のサイン入り新刊本を入手することできました。
花形歌舞伎は、若手役者のキラキラ光る眩しさや溌溂とした新鮮さ、明るさを感じることができます。
この役者は、これからこの役がはまり役になるだろうと想像しながら観るのは楽しみの一つでもあります。
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