念願叶い、道成寺の「撒き手拭い」初ゲット!
いよいよ師走、今年も大詰めというこの時期、歌舞伎は昼、夜と皆勤賞で幕を閉じようとしています。
今回は、まず「夜の部」から行って来ました。
「江戸手描き提灯」
新歌舞伎座の正面に、歌舞伎座のシンボル、江戸手書き提灯が取りつけられました。提灯の絵柄はもちろん、歌舞伎座の定紋『鳳凰丸』です。
来年の4月2日の開場式に向けて、どんどん盛り上がってきます。

「籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)」
今回、尾上菊五郎が初役の佐野次郎左衛門に挑みました。大筋は、「ぶ男だから色事に関係なく、一所懸命働いて豪商になった田舎者であばた顔の次郎左衛門が、仕事で江戸に出て来てふらっと足を踏み入れた吉原で、金があれば旦那気分になれる世界を知ってしまう。有頂天になった絶頂期に馴染みの花魁八ツ橋に愛想づかしされ、妖刀籠釣瓶で切ってしまう。」というものです。
あばた顔の次郎左衛門は、吉右衛門や先日亡くなった勘三郎が得意としており、今回は初役の菊五郎が新解釈を加え演じるので楽しみにしていました。菊五郎の役者としての力量は、十分発揮されているものの、この役には吉右衛門や勘三郎には及ばない感じがします。それは、向き、不向きの問題であり、菊五郎自身が息子の菊之助に頼まれたからやったけど、やりたくなかったと言っているように、やりにくい役柄だったと思われます。
それに比して、八ツ橋役の菊之助の艶やかで素晴らしかったこと・・・、玉三郎の八ツ橋に負けない花魁でした。

「奴道成寺(やっこどうじょうじ)」
能からきた道成寺ものは、「京鹿子娘道成寺」が有名ですが、他にも「二人道成寺」「男女道成寺」そして今回の「奴道成寺」など、たくさんのバリエーションがある演目です。
坂東三津五郎の「奴道成寺」を観るのは、これで2度目になりますが、三津五郎の踊りは相変わらず見事で、何度見ても「巧いなぁ〜!」と感心してしまいます。「奴道成寺」とは、名前のとおり娘に替わって男が踊る道成寺もので、最大の見せ場は、三つの面を使い分け、瞬時に男と女と爺を踊り分けるところです。ひょうきんな笑わせる踊りを巧みにこなせる歌舞伎役者はそう多くはいません。

「道成寺もの」の楽しみは、踊りに使っていたものと同じ手ぬぐいを客席に撒くことです。毎回、50〜60本くらいの手ぬぐいが撒かれますが、貰える確率は当然1階席中央が1番高く、3階まで届くのは、そのうち1本あるか?無いか?の確率です。
その奇跡的な確率に今回当たりました。どうせ3階席だからと見ていたら・・・、えっ!・来た?来たぁ〜・・わ〜・・・やった〜


遠くまで飛ばす手ぬぐいは、固くきっちりと巻かれています。

それを開くと・・・三津五郎の定紋「三ツ大」(右)と、替紋「花勝見」(左)が描かれ、右には「十二月大歌舞伎 奴道成寺」と染め抜きがあり、三津五郎のサインが印刷された貴重品の手ぬぐいでした。ちゃんとアイロンを掛けて「額を買ってこなくちゃ!」

「カウントダウン時計」
新歌舞伎座開場までのカウントダウン時計が東劇に設置され、いよいよ開場の興奮が高まって来ます。この時計は、来年2月に新歌舞伎座前に移され再設置されます。

歌舞伎も沢山観ていると、良いことがあるなぁ〜と感激(観劇)した一日でした。
隣に座っていた歌舞伎通のおば様たちの会話
「最近、右近さんが凄いですのよ。」
「どちらの右近さん?」
「尾上右近さんですよ。今日も初菊役で出ている・・。日本舞踊がとても巧いんですよ、演技も素晴らしいですし・・・。」
「市川右近さんの方は、最近あまり良い役には・・・、亀治郎さん、いえ猿之助さんもこれからどうなっていくのでしょうね。」
「松緑さんは、最近頑張ってますね。先月も仁左衛門さんの代役で・・、でもそれはないと思いましたのよ。やっぱり仁左衛門さんに出て頂きたかったわ。」
と、しばらく歌舞伎談話が続いてました。ご自身も日本舞踊をやられているようです。歌舞伎観劇も奥深く、私達もまだまだこれからだと思いました。
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