聖トーマス教会合唱団&ゲヴァントハウス管弦楽団のマタイ

昨日は、素晴らしい「マタイ受難曲」を聴いてきました。
聖トーマス教会合唱団&ゲヴァントハウス管弦楽団のマタイです。
聖トーマス教会の初代音楽監督はバッハで、生涯の最後まで27年間勤めていました。
ゲヴァントハウス管弦楽団は世界最古の民間オーケストラで、歴代音楽監督には、メンデルスゾーン、フルトヴェングラー、ワルターなどと続き、現在はリッカルド・シャイーが担っています。
私達が聴き込んできた「マタイ」は、リヒター指揮版で、これが聴き比べの標準になっています。
いままで聴いてきた「マタイ」では、バッハ・コレギウム・ジャパンが一番と思っていましたが、昨日の演奏はそれに匹敵するか、凌駕するほどのものでした。
前半は、大切な導入合唱の第一曲のテンポが少し早く馴染めない感じを持ちつつも、しっかりとした管弦楽と合唱でますまずのスタートです。福音史家のテノールとイエスのバスも素晴らしく、合唱団の天使の歌声が感動的です。順調に曲数を重ねましたが、6曲目のアリアあたりから少し怪しくなってきました。ソプラノとアルトの女性歌手の声が全く出ていません。私達の席が舞台後部のP席だったということを差し引いて聴いたとしても、高音部は伸びがなく低音部の声が出ていないのは明らかでした。
前半は、テノールとバスが多くアリアが少ないのが幸いでした。
後半のスタートは、アルトのアリアから始まります。心配していた声の方も喉が開いてきたのか、張りと豊かさが出て響くようになりました。良かったです!安心しました。
ここからは、終盤68曲まで徐々に盛り上がっていきます。管弦楽各パートのソロ、アリア、合唱、合唱団員のソロと美しい音が響き、第45曲中の「バラバを!」から終曲の68曲までは緊張感を持って一気に盛り上がりました。
「マタイ受難曲」は福音書を扱っているので、内容はとても重く深いものですが、旋律はとても温かみを感じ、主題となる旋律は光と穏やかさを感じられるほどの平穏な気持ちを与えてくれます。
キリスト教が音楽と上手く結びついて、バッハのような天才の手に委ねられた時、こんな素晴らしい感覚を味わえる曲が産まれるとは、これこそ宗教の奇跡を感じざるを得ません。
私達は、南国のリゾート地に行くときは、いつも「マタイ」を持って行きました。一日中この曲を繰り返し聞きながら、風に吹かれ波の音を聞きながら木陰で読書をしたりうたた寝をしたりと、何年も何年も積み重ねてきたので、この曲が自然と身体の中に入っています。聴けば風や波の音を感じ、この曲の与えてくれる効果とマッチして平穏な気持ちにさせてくれます。
J.S.バッハ「マタイ受難曲」 ミューザ川崎シンフォニーホール
合唱 聖トーマス教会合唱団
管弦楽 ゲヴァントハウス管弦楽団
指揮 ゴットホルト・シュヴァルツ
ソプラノ シビッラ・ルーベンス
アルト マリー=クロード・シャピュイ
テノール マルティン・ペッツォルト
バス(イエス) クラウト・ヘーガー
バス フローリアン・ベッシュ
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大晦日の『ジルベスターコンサート』
東海大学の猛追撃で応援にも熱が入ってきた箱根駅伝の最中ですが、年末のジルベスターの様子をアップします。
最近の大晦日恒例行事は、『MUZAジルベスターコンサート』が定番になっています。一年間の締めくくりに、とっても充実したひと時を過ごせます。

今回の指揮者は、秋山和慶氏です。秋山さんの指揮を見ていると、「日本のカラヤンのようだ!」と感じます。オーケストラの持っている最大限の音量で押し寄せてくるような迫力、音に包まれる気持ちよさを身体中で受け止めることができます。

前半の見所は、ガーシュインの「ラプソディー・イン・ブルー」をオーケストラとピアニストの清塚信也さんとで共演します。初めて浸る世界観に圧倒されます。清塚さんのピアノの音色は、力強く華やかで、クラッシックとジャズの世界をその音の中に同時に感じることができます。まるで、グレン・グールドです。ジャズバーでバーボンを飲んでいるような気分で「ラプソディー・イン・ブルー」を聴いていると思ったら、ウィーンのニューイヤーコンサートを正装で聴いているような雰囲気を同時に味わっているみたいです。
目にも止まらぬ速さの指さばきに驚き、変幻自在のピアノの音色があらゆるジャンルの音楽を飲み込んでいくような感覚に酔い、ピアノの新たな世界に足を踏み入れたような気がします。
アンコールで弾いたピアノが、また凄いんです! 超高速で世界一周したような、スピード感と疲労感と感動が怒濤のような勢いで駆け抜けていきます。「こういうピアニストもいるんだ!出逢えて良かった!」と感じた瞬間です。
後半は、リチャード・ロジャースの「サウンド・オブ・ミュージック」より、オーケストラをバックにミュージカル風にアレンジした舞台です。マリア役の知念里奈は、はまり役で魅入ってしまいました。ミュージカルの役者は、歌が上手いことも必要ですが、それ以上に役柄に合っていることと演技力が重要です。歌一つ一つは、すべて日本語のなのでわかりやすかったですが、良く知っている曲ばかりなので英語で歌ってくれても良かったかな・・・とも思います。しかし、それぞれの配役も合っていて、歌も上手かったので素晴らしい最高の舞台でした。ミュージカルを一本観たような充実感と、ミュージカルの最高峰を実感でき満足感で満ち足りた時間を過ごせました。終わった時には、「サウンド・オブ・ミュージックのミュージカルを観に行こう!」と決意していました。
MUZAジルベスターコンサート2015
バーンスタイン「キャンディード」序曲
ガーシュイン「ラプソディー・イン・ブルー」
ピアノ : 清塚信也
リチャード・ロジャース「サウンド・オブ・ミュージック」より
マリア : 知念里奈
トラップ大佐 : 福井昌一
長女リーズル : 笠松はる
長男フリードリッヒ : 菊池銀河
次女ルイーザ : 広岡鈴
次男クルト : 横山温人
三女ブリギッタ : 加藤菜穂子
四女マルタ : 篠原志優
五女グレーテル : 種村梨百花
「サウンド・オブ・ミュージック」
「ディキシット・ドミヌス」(主は言われた)
「私のお気に入り」
「ドレミの歌」
「ひとりぼっちの羊飼い」
「エーデルワイス」
「すべての山に登れ」
「何かいいこと」
「行列聖歌〜マリア」
「さようなら、ごきげんよう」
指揮 秋山和慶
管弦楽 東京交響楽団
パイプオルガン 近藤岳
フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2015
毎年恒例の「サマーミューザ」。幾つもあるコンサートの中から、今年は「洗足学園音楽大学」を選びました。何と言っても、料金の安さ(1,000円)が魅力的です。
茹だるような暑さで、ここまで(ミューザ川崎シンフォニーホール)来るのも辛いですが、冷えたホールに入ると来た甲斐があったと感じます。真夏の暑さをちょっとの間忘れさせてくれます。


今回「洗足学園音楽大学」を選んだのは、『チャイコフスキー三大バレエ』の曲を演奏するからです。
音大生によるコンサートなので、あまり期待してなかったのですが、何の何の・・・なかなかの上手さです。洗足学園ニューフィルハーモニック管弦楽団は、指揮者・秋山和慶氏を芸術監督としているので、みっちり仕込まれているようです。
今年の4月からは、バレエコースも加わり3つのクラス(東京シティ・バレエ団、谷桃子バレエ団、牧阿佐美バレエ団)があります。それぞれのクラスの生徒が、競い合ってさながらガラ公演のようです。
演目は、
①「くるみ割り人形」より:谷桃子バレエ団コース
②「白鳥の湖」より:東京シティ・バレエ団コース
③「眠れる森の美女」より:牧阿佐美バレエ団コース
学生のバレエ・ダンサーということで、オーケストラよりも期待していなかったのですが(笑)、予想以上に頑張っていました。正直、レベルが上がっている印象を受けました。この3つの演目の中で特に『白鳥の湖』は難しく、プロの一流ダンサーとの違いが良くわかり、私たちにとっても勉強になりました。
ミューザにはオーケストラピットがないため、舞台奥にオーケストラが構え、手前の狭いスペースがダンススペースだったのが、ちょっと可哀想でした。もっと広いスペースで延び延びと踊らせてあげる工夫が来年からは必要だと思います。
この学生たちが卒業し、プロとしてやっていかれる人が一体何人いるのか? ちょっと気になるところですが、「学生さんだらから・・・」と大目に見ることができて、気楽に十分楽しめる時間でした。
オリヴィアと再会した夜!
オリヴィアとは誰?
趣味のブログなので、いつも個人的な趣味の話題に走っていますが、
その中でも、いつもの何倍も個人的なコアな話しになります。
知らない人も多いかもしれませんが、オリヴィアとは歌手の「オリヴィア・ニュートン=ジョン」です。
かつて杏里が唄った「オリビアを聴きながら」のオリビアです。
といっても更に分からない人がいるとは思いますが、
あえてオリビアではなく、オリヴィアと書くところにすでにこだわりがあるところなんです。
実は、南十字星夫は大のオリヴィアファンでそのファン歴も中学生の頃からですから◯十年。
武道館コンサートにも行ったし、ファンクラブにも入っていました。
そのオリヴィアのコンサートに昨日行って来たので興奮覚めやらずです。
あの当時、ファンであった少年と人気歌手であったお姉さんもお互い歳を重ねました。
クリスタルボイスは健在で、カントリーポップスの名曲の数々に懐かしさと嬉しさがこみ上げます!
もう再び会える日はないかもしれませんが、
オリヴィアはまだまだ唄い続けてくれるでしょうし、ファンであり続けます。
『家宝の手紙』

中学3年生の夏休み。同級生は受験勉強に励むの中、黙々と英文のファンレターを書いていました。苦手で大嫌いだった英語ですが、辞書を片手に。。。人間のやる気はどこで発揮されるか分かりません(笑)。便箋2枚も書いたファンレターを投函してから一年以上たち、もう諦めかけていた時に手紙とともに直筆サイン入りブロマイドが届きました!嬉しくって、早速アルバムを買って来て大切に保存しました。

現在のオリヴィアです。66歳とは思えない素敵なお姉さんはその歌声とともに健在です。
イギリス人のオリヴィアは、デビュー当時はカントリーポップスの素朴な歌を歌っていました。アメリカに移住後、ミュージカル「グリース」や「ザナドゥ」に出演したのをきっかけとして、コンテンポラリー、ロック、ディスコ調とどんどん変わってゆき一時ファンとして離れて行ったことがあります。人気上昇後の30歳という年齢を越えたあたりからプロモーション的に売れ筋を求めて変遷させられた結果だと思います。
現在はヒットセールスが終了した後、落ち着いた結婚生活を経て、本来のクリスタルボイスが活きる音楽活動を続けています。やっぱりオリヴィアにはカントリーポップス調の歌がよく似合います。
最初の来日コンサートの時は、最年少に近いお客さんだった私は、昨日も最年少に近いお客さんでした(笑)
アメリカのコンサートはやっぱりいいですね ♪
コンサートも随分行きましたが、アメリカのものはいつも一味違います。
いつかアメリカ本土でコンサートに行ってみたいです。
大晦日のジルベスターコンサート報告
毎年恒例に定着しつつある、大晦日の『MUZAジルベスターコンサート』があまりにも素晴らしかったので遅ればせながらの鑑賞記を載せてみました。年の締めくくりは「これだ!」と言える楽しいイベントです。

なんと今回は、ミューザ初1階席です。この選択が大正解の内容でした。
MUZAジルベスターコンサート2014 [第一部] 1 チャイコフスキー:オペラ「エフゲニー・オネーギン」より"ポロネーズ" 2 チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 [第二部] 珠玉のミュージカル・セレクション 1 『美女と野獣』より「愛せぬならば」 2 『リトル・マーメイド』より「パート・オブ・ユア・ワールド」 3 『ライオン・キング』より「終わりなき夜」 4 『アナと雪の女王』より「ありのままで」 5 『ピノキオ』より「星に願いを」 6 『アナと雪の女王』より「生まれてはじめて」 7 『オペラ座の怪人』メドレー 「第1幕オーヴァーチュア/マスカレード」 「オペラ座の怪人」 「ミュージック・オブ・ザ・ナイト」 8 『レ・ミゼラブル』より「オン・マイ・オウン」 9 『ジギルとハイド』より「時が来た」 10 『ミス・サイゴン』より「世界が終わる夜のように」 11 『エリザベート』より「私だけに」 12 『レント』より「シーズンズ・オブ・ラブ」 [アンコール] 「タイム・セイ・グッバイ」 |
指揮者の秋山和慶氏率いる『ジルベスターコンサート2014』は、本当に素晴らしかったです。
特に、第2部の「珠玉のミュージカル・セレクション」は、私達にとっては感動の連続でした。観たことのある「ミュージカル」の選りすぐりの名曲の数々をオーケストラをバックに素晴らしい歌い手が歌い上げました。
実際にそのミュージカルを見た時の感動が再び蘇ります。「あ〜、もう一度見たい!この歌い手で、もう一度!」と、思いが募るばかり。『美女と野獣』『ライオン・キング』『オペラ座の怪人』『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』・・・『アナと雪の女王』まで、どれをとってもまさに珠玉の名曲ばかりです。
特に、『オペラ座の怪人』では、劇団四季で怪人とクリスティーヌを演じた大山大輔さんと井科瑠美さんがフルオーケストラをバックに歌い上げ、背後では本物のバイプオルガンによるあの独特のメロディが響き渡るという、なんとも贅沢な演出です。
歌舞伎を見始める前は、たくさんのミュージカルを見続けてきました。アンドリュー・ロイド・ウェーバーの作品が大好きで全て観たと思います。その中でも『オペラ座の怪人』は珠玉でした。1988年日生劇場での初演時のことは今でも忘れられません。市村正親さんの怪人、野村玲子さんのクリスティーヌ、山口祐一郎さんのラウルと日本オリジナルキャストは素晴らしく、その後何度も見た上、本場ロンドンの劇場まで見に行ったぐらいのお気に入りでした。
その『オペラ座の怪人』をこんな豪華な演出で見られるとは思ってもいませんでした。
気がつけば、ぽかんと口を開けたまま、夢の世界に漂っていました。オーケストラの大音量の中でも、人間の声の美しさや響きは心地よく魂に訴えかけてくるものがあります。何か、懐かしく癒される思いでいっぱいになりました。
そして新しい収穫もありました。洗足学園音楽大学を卒業したばかりの昆夏美さんの『ミス・サイゴン』が素晴らしく、伝説のキム役となった本田美奈子さんを超えるであろう素晴らしさ。2016年に再演される『ミス・サイゴン』が今から楽しみです。
また、昆夏美さんの洗足学園での先生だった高野二郎さんも大注目のテノール歌手で、アンコールの「タイム・セイ・グッバイ」を素晴らしい歌唱力で歌い上げました。
最近はあまり作曲家に恵まれない感じのミュージカル界ですが、またミュージカルも注視していこうかなと感じたジルベスターナイトでした。
「終わり良ければ、全て良し!」「バイバイ2014!」と感じられる素敵な大晦日でした。

2014年大晦日ジルベスターコンサート終演後のミューザ